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音のパレット〈モスグリーン〉

急に涼しくなって、なんだかどっかりと疲労ピーク。
いくらでも眠れそうな感じがする。
寝転がって本など読みかけても、ほんの数分でうとうとと夢うつつ、そんな秋の入り口だ。

こういう体調のときは、夢と現実の境界が曖昧な音楽が心地良い。
たゆたうように、ただただその音世界に身を任せていると、ふわふわと宙に浮くような気分になってくる。
ある種のドラッギーな感覚で脳内トリップ。

そんなレコードのひとつが、これ、ヴァン・モリソン師の“Astral Weeks”です。


Astral Weeks / Van Morrison

不思議な浮遊感を漂わせるアコースティックな楽器たち。
とりわけベースの太い響きや、フルートのさえずりや、キラキラした月光のように響く弦楽器が、ひとつの深くて底なしの音空間を作りあげている。
そしてヴァン・モリソンの深くこだまする歌がまた、すべてが意味ありげで、ある種の孤高な雰囲気を漂わせる。

名盤紹介なんかには必ず、難解だのケルト音楽のルーツにジャズをミックスさせて云々の小難しいことが書かれてあるいわくつきの名盤だけど、そもそも音楽なんて「わかる」必要などひとつもない。
心地良いうねりに、ただただ身を任せればいいのだ。
うねりの中を漂いながら、インナーワールドへGo To トラベル、なのだ。



この音楽の世界は何色だろうか、と考えて思いあたったのが「モスグリーン」でした。
モスグリーンのモスは苔のこと。
深みがありつつ明るさを残した黄緑。
なんとなく、苔むした日本庭園の奥深さ、みたいなイメージが湧いてくる。
借景と、石と砂と樹木で作られた小さな小宇宙。
京都に住んでいながら、そういう庭園になんぞまるで足を運んだことなどないのだけれど、そういう庭の前で、ぽっかりと心を空っぽにして、この小宇宙が描きだす世界に身を預けていたい、そういう感じかな。

深みと明るさ、苔のような生命力。
地味だけどじっくりと時間をかけて醸成されたひとつの世界観。
リトルトリップから還ってきたとき、何かが変わるだろうか。
そんなことをなんとなく思う秋の入り口。





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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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