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音のパレット〈スカイブルー〉

8月の色はスカイブルーがいい。
いろいろと異常づくめの夏でも、やっぱり空は青い。

朝早くからのラジオ体操、家族と行った海水浴、嫌でたまらなかったクラブ活動の夏連、バイトばっかりしてた学生時代、ただボンヤリとしていた無職の夏。
どの夏にも空を見上げれば、スカイブルーがいっぱいに広がっていた。



夏のスカイブルーの空といえばなぜだかラジオを連想してしまう。
ステレオを買うための短期バイトの廃金属処理の現場でずっと高校野球中継がラジオから鳴っていたせいかもしれない。
炎天下に野晒しにされた電話線か何かのケーブルをただ黙々とゴムとアルミニウムに仕分けるのだ。
あるいは仲間たちと連れだって行った海水浴の、ビーチと呼ぶにはあまりにもひなびて磯臭い浜辺から流れるFMラジオの印象のせいか。
ラジカセやウォークマンじゃなく、FMラジオからランダムに流れてくる夏のヒット曲。

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Armchair Theatre / Jeff Lynne

E.L.Oのジェフ・リンが1990年にリリースしたこのソロ作品は、ラジオから流れてくるヒット曲集みたいなアルバムで、ビートルズみたいなメロディーやビーチボーイズ風のコーラス、ロカビリーからスタンダード、いろんなパターンの曲が次々と流れてくるのが心地よい。
ジョージ・ハリソン風、ロイ・オービソン流、ちょっとディランっぽいホーボーソング、そのバラエティーとクオリティーにはただただ恐れ入るばかり。

ジェフ・リンという人は、セルフプロデュース力がとても高い。プレイヤーとしての自我よりもプロデューサー目線から自分をコントロールできる人だ。
ゴリゴリした自己主張ではなく、全体を見渡して上手にバランスをとって調和させる。
「この曲はこういう感じで」という着想に忠実に材料を取り揃えて構築し、イメージどおりの世界を再現する手法で、求められる世界に対して必要なものをひとつずつ丁寧に集めて作り上げていく。
イメージそのものになりきって、イメージしたものから発せられる波長に乗って演奏する。
それはもはや、職人技を通りこしてほとんど霊媒師並みの憑依力なのではないかと思ったりするのだ。
そのやり方はまるで、空中を飛び交うたくさんの電波から一番ぴったりと合うラジオ局の周波数にチューニングを合わせるのに近いのでは、と。

自分的にはなんとなく、そのセルフプロデュース力に、シンパシーを感じたりもする。
人生なんぞ結局のところは、どんな設定やどんなキャラをどう選ぶか。
その設定やキャラをどうセルフプロデュースするか、ってのはけっこう人生の幸福度に大きな影響があることだと思うのです。



さて、スカイブルーの話から大きく逸れてしまった。
スカイブルーはとても好きな色。
哀愁と清々しさが50:50の色。
楽しさと悲しみの比率は半々だけど、苦みや苦しみ、怒りや嘆きの成分はほとんどない。
淡々とクールなばかりではなく爽やかさや晴れやかさが強くて、イジイジしないのがいいな。

遅れてきた夏の空。
果てしないスカイブルーの中に飛び交う電波。
今日はどんな電波をキャッチして、どんな人生にチューニングを合わせようか。







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コメント

[C3390]

colさん、こんばんはー。
このアルバムは確かに「裏トラヴェリングウィルベリーズ」ですよね。
トラヴェリングウィルベリーズで演るつもりだったボツテイク、もしくはトラヴェリングウィルベリーズ用に作ったけどソロにおいといた、みたいな曲もあるんじゃないかと思ってます。
いろいろめんどくさい情勢ですが、もうのんびりマイペースでやるしかないですねー。
  • 2020-08-20 19:04
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3388] Jeff Lynne

goldenblueさん、

ジェフ・リン、懐かしいですね

カラッとしたサウンドにぴったりなジャケットが印象的です
トラベリング・ウィルベリーズのアルバムと併せてよく聴いてました
こういうのを聴くと、車で遠くに出掛けたくなります
早くそういうことができるようになると良いですね

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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