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音のパレット〈緋色〉

朝から蝉が暴力的に啼き散らかして、ギラリとした日射しで起こされる。
モワッと蒸した空気で息苦しい。
暑くなりそうだ。
極悪な暑さの季節が近づいている。

梅雨が明けると、一年で一番不快指数が高い季節になる。
「西遊記」に一年中燃え盛っている火焔山という山が出てくるけど、この時期の関西はその火焔山が火を噴いているんじゃないかと思うくらい暑い。
赤く燃えているよりもよりももっと赤い感じの暑さ、緋色の世界だ。
英語でいうとスカーレット。
赤よりもより鮮やかな赤。
緋色の語源はおそらく「火」なんじゃないかと思う。
つまりは炎の色。
そして英語のスカーレットには、極悪という意味もあるらしい。

極悪な暑さには、より極悪な音楽で対峙するのがいい。

というわけで、極悪な真夏に向けて、極悪なスカーレットの音楽を。
Iggy PopのThe Stoogesだ。


Fun House / The Stooges

彼らの音はもう、なんだかぐちゃぐちゃで暴力的なほどにテンションが張りつめている。
爆発ではなく爆発寸前。
地下のマグマだまりみたいに高温で、混沌としている。
ギターが重機みたいにリズムのうねらせ、イギー・ポップが奇声を発し、サックスがわけのわからないブロウを連呼するカオス。



やるべきことが山ほどあって、さすがに火花バチバチでショート寸前。
イレギュラーと緊急対応と改革課題続きの2020年コロナの夏。
さすがにへとへとなんだけど、ここでへばると地獄の炎に焼かれてしまう。
しのぎどころなのだ。

そういえばコロナっていうのは、このウイルスが流行するまでは、太陽の周囲にあるガスの層を表す科学用語だった。
水素原子が分裂するすざましい高温のガスの層。温度は100万ケルビンと言われてもまるで想像がつかない熱い熱いガスの層。
それに比べりゃ、地獄の炎だってたいしたことでもないんだろう。

地獄の炎の向こう側では淫力魔神イギー・ポップがせせら笑っている。
だいじょうぶだ。
迎え討つんだ。
地獄の炎は、逃げれば逃げるほど追いかけてくる。
炎を退散させることができるのは、おそらく炎だけなのだ。










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コメント

[C3386]

BachBachさん、こんばんはー。
爆発寸前、エネルギーMAX限界ギリギリ、ムラムラ感ピーク、という感じですよね。
へヴィーなギターにフリーキーなサックスなど、今じゃやらない、型にはまらないわけわからんくらいのめちゃくちゃさも凄いですよね。
  • 2020-07-22 21:20
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3385] 分かります

ものすごく熱いんだけど、爆発はしてない感じですよね。ストゥージスはこのアルバムが一番好きです。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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