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音のパレット〈紫〉

紫という色は一筋縄ではいかない色だ。
特にすみれ色や藤色ではなく、いわゆるパープルには、古くから官位の高い人の色とされたように高貴なイメージがある一方で、セクシャルというか妖艶というか淫靡というか、少しアブノーマルな印象も強い。
魔術的、神秘的な印象もあるけれど、そのことが安らぎにつながるかといえば、むしろ不安をあおるような感じがしたりする。
未知のものへの強い興味を誘惑する色。
少なくとも、安定した日常とはかけ離れている。

そういうパープルのイメージのキャラクターを体現している人といえば、やはりこの人しかいないだろう。

プリンス。

ベタベタですが。。。


1999 / Prince

プリンスを初めて聴いたのは『パープル・レイン』だった。
MTVでへヴィーローテーションだった“When Doves Cry”のエグさに戸惑いながらも、怖いもの見たさでつい惹きこまれてしまうような独特の磁力があった。心の奥底を掻き乱されるような独特の求心力があった。
爬虫類的というか、ヌメヌメした肌触りで絡み付かれるような感じ。子ネズミのような自分は睨まれて身動きができなくなる。
生き物には強い違和感や生命の危機を感じたときにアドレナリンが出るような仕組みがあるせいだろうか、どこか気持ち悪さを感じながらも、それがやがて不思議な快感に変わっていくのだ。

気持ち悪さが美しい「Parade」、60年代ロックっぽいかっこよさの「Around The World In A Day」もたまーに聴きたくなるけれど、一番インパクトがあるのはやっぱり「1999」か。



表と裏がメビウスの輪のようにつながってこんがらかってとぐろを巻いているようにうねうねと続く奇妙なファンク感。
エグいくらいの奇声や喘ぎ声。
延々と続く無機質なデジタルビート。
その向こう側に突然後光が射してくる。
ゴミ箱に咲いた紫の花のように、モノクロームの世界の中で鮮やかに存在感を示す紫のその魅力に気づいてしまうと、その風景はそのまま心の底に根付いてしまう。

一番俗なものが実は一番聖らかであるというパラドックス。
一番異端に見える人が実はものすごく正統派である、そのねじれ感。
パープルという色にある聖と俗。

安らぎや癒しはなくても、ときには不安と向き合ってちゃんと覗きこんでみることも必要なのかもしれない。
紫という色の妖しさや毒々しさの向こう側にある強さやしたたかさを、時には取り入れてみてもいいのかもしれない。









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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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