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音のパレット〈碧〉

日本語で「青」と呼ぶ色の範囲は実はとても広い。
どうやら古来、青という色は、赤や黄、白や黒以外のすべての色、灰色~青~緑に至る幅で使われていたらしい。
「青葉」「青虫」「青田」「青信号」、実際は緑色なのにそれを「青」と呼ぶことに誰も何の違和感もないのは、そのことがあながち不自然ではないからだろう。

エメラルドグリーンや若竹色、ターコイズブルーや浅葱色など、青と緑の中間のような色は、とても好きな色。
この「青」は「碧」と書いたほうがしっくりくる。
爽やかな青色の初夏が過ぎて、湿気が上がり雨や曇りが増える今の季節は、青よりも碧が似合う。

さて、そんな碧のイメージのレコードはアズテック・カメラの“Knife”。


Knife / Aztec Camera

メロディーは流れるように美しく、とびきりにポップで、16ビートのギターのカッティングやパーカッションなんかもかっこよく鳴っている。
だけど、元気いっぱいかっていうとそうでもなく、声質は細く、ギターの音色もどこか湿り気と翳りがあって、ロディー・フレームの繊細でナーヴァスな素顔がところどころで見え隠れしている。
少し控えめでうつむき加減でどちらかといえばぺシミスティック。
でも明るさやきらめきは失わない。
群れることも厭いはしないけれど、ひとりでいることの愉しみも知っている。
そんな感じ。



アルバムで一番好きなのはこの曲。

BackwardsとForwards。
過去と未來。
前向きと後ろ向き。
ゆるやかな後悔とささやかな希望。
そんな双方に引き裂かれたアンビバレンツな心を、時には少し揺らぎつつも、なんとなく飄々とやりすごす。
碧のイメージにある、そんな感じは、悪くないと思う。

真っ赤に燃え上がるばかりじゃすぐに燃え尽きちゃう。
いつもいつもクールで冷静な青色でもいられない。
揺らぐのは普通のことなんだ、って、碧い色が微笑んでくれているような気がする。








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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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