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音のパレット〈青〉

一番好きな色は、青なのです。
青にもいろいろと幅はあるけれど、ちょっと暗めの青色が好き。
瑠璃色~群青~インディゴブルー、いや、それよりは少し明るさがあったほうがいい。
美しく言うと、夜明け前の空の色が理想的だ。

青色というのは、分類としては寒色で、つまりはクールな色とされている。
冷静沈着で、ふざけたりはしゃいだりはあまりしないイメージがある。
また、憂鬱な気分を英語でブルーと表現するように、どちらかといえばシリアスな色でもある。ただ、憂鬱は絶望とは違うように、重々しくはなく、どこかに爽やかさや軽やかさを残している。
好きな色=自分像ということでもないけれど、そういうイメージへの憧れはあるんだろうね。
現実はおしゃべりで理屈っぽいくせにけっこういい加減だとしても、だ(笑)。

冷静で思慮深く、けれどどこかに熱い情熱を抱え持っている。
基本的にはペシミスト。だけど絶望的ではない。
そんな青の音楽のイメージは、このレコードだ。


Late For The Sky / Jackson Browne

言葉は全部言い尽くした
だけどなんだろう、
このまだしっくりしない感じは
僕たちは夜通し続けたんだ
最初から僕たちの足跡をなぞって
それが空気に溶けて消えていくまで
人生は僕たちをどこへ導いていくのか
なんとか理解しようとしてみたんだ
(Late for the sky)




なんていうんだろう、この切ない感じ。
悲しみとあきらめが混ざりつつ、どこか明るさを保とうと手を伸ばしている。
この感じは、ブルーだと思う。

ジャクソン・ブラウンの音楽は、基本的にはクールで理知的だけど、満たされない心と熱い情熱を内側に抱え持っている。
例えば、このアルバムで一番のアッパー・チューン“The Road and The Sky”はこんな歌。

道と空がぶつかる場所にたどり着いたら
エッジを軋ませて魂を滑らせるんだ
奴らは「どうせ生活のためには働かなきゃいけなくなる」ってお説教したけど
僕がやりたいことはただ走ること
ここからどこへたどり着こうと
もはやそんなことは気にしない
さぁ、心を決めるんだ




歌詞だけを取り出すと、威勢のいい若造の突っ走り宣言ソングだけど、ジャクソンの歌のニュアンスには、エゴまるだしで突っ走っていくというよりは、どこか一歩引いた冷静な視点がある。観察者的というか、ジャーナリスティックというか、そういう感じの客観視点が含まれる。
そして、熱く歌いギターを鳴らしながらも、どこか癒されない苦悩や悲しみに浸されている。

僕が思う青のイメージは、こういう相反するものを内側に持っている感覚なんだろうな。
熱くなってひとつの方向へ突進していくのではなく、それでいいのか?だいじょうぶか?と自問自答しながら、時には流されたり思いと逆のことをしたりしながら、ひとつずつステージがすすんでいく。
どこかを目指してがんばっていくというよりは、たどり着いた先で悪戦苦闘していく、その肚はもう決めているんだ、という感じ。

カタルシスや解放感などもはや求めない。
哀しみや苦しみも抱えながら、それさえも受け止めて、少しでもより良い方向へすすんでいこうとする。
闇の中に横たわる希望、少しずつ良くなっていく予感のような明け方の空の色。
青色にあるそういう感じが好きなのだと思う。







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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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