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音のパレット〈ピンク〉

音のパレット、今回のお題はピンク色。

昭和育ちのせいか、ピンク色は女の子の色である、という固定観念が埋め込まれてしまっていて、どうもピンク色に対する親しみ度は高くない。
優しくて品のある色だとは思うんだけど、一方で甘ん坊というか、媚びというか、見た目や損得勘定を優先して動くような取り繕ったあざとさみたいなものがピンク色の心理の中にあるような気がしてしまうのは、どこか幼少の頃にトラウマになるような経験があったのでしょうか(笑)。
自分にとっては、素直に受け入れにくいイメージの色ではある。

どこか、こういう優しくて甘い香りのする世界から一歩距離を置きたい気持ちがあるんだろうなぁ。
最初からピンク色に象徴されるような優しさや甘さで囲まれた世界に生まれ育ったのならよかったのかもしれない。
そういう甘い香りのする世界があると知りながら、実際はそうではない、もっとハードでタフな世界をくぐり抜けて自分を獲得してきたのに、今さらこういうピンクの世界なんて受け入れられないよ、という感じだろうか。
でもそれって、憧れへの裏返しなんだろう、ということにも薄々気づいてはいる。
張った意地を一枚脱ぎ捨てれば、メロメロになっちゃうのかもしれません。

ピンク色の優しく甘い香りのする音楽。
例えばこういうの。
聴くとメロメロのふにゃふにゃになります。


Once Upon a Summertime / Blossom Dearly

ブロッサム・ディアリーさん。
決して美形ではないし、美声でもない、めちゃくちゃ歌が上手いわけでもない。
でもなんだか惹かれるものがあるんですね、この人の歌には。
甘ったるくて気だるくて、でもなぜかどこか懐かしいような味わいがある。



ピリピリしたりイライラしたりしても、こういう角のないゆるさにかかれば、ピリピリやイライラがアホらしくなってしまうようなとこってあるよね。
解毒作用っていうか、悪を無力化するようなピンク色の効能。

匿名の誹謗中傷や罵詈雑言にさらされる僕たちの世界。
通りを歩いているだけで見知らぬ人からいきなり生卵を投げつけられるように角がギザギザと尖った言葉をぶつけられる。
そういう世界でうまくやっていくためには、ピースフルな溶解力を持ったピンク色が有効なのかもしれない、と思ったりもするのですよね。
世界平和とピンク。

でも、世界中がピンクだったら、やっぱりちょっとしんどいかな(笑)。








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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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