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音のパレット〈ゴールド〉

ゴールド。
金色。
イメージとしてはやはり、ラグジュアリーでゴージャス、そして高貴、という印象だけど、一歩間違えれば成金趣味の陳腐なイメージにもなる。
これ見よがしにゴールドの時計を散らつかせたり、金のネックレスをチャラチャラさせたり(笑)。
僕はそういう装飾品へのこだわりがまるでないので、そういうものの価値がまるでわからない。
それが自分らしさならいいんだけど、身につけるもので自分をより上に見せようという魂胆が見えてしまうと、なんだかうんざりしてしまうのです。
偏屈ですね(笑)。

さて、そんな金色の印象の音楽は、これです。


Avalon / Roxy Music

キラキラ輝く音世界、耽美的で退廃的な世界観。
一歩間違えれば、いけすかないキザ野郎なんだけど、すんでのところでそれが下品に映らないのが、ブライアン・フェリーさんのすごいところだと思う。
というか、このキラキラに輝く音世界の中からかすかに浮かびあがってくるくる高貴な雰囲気が、曲追うごとに確信的になっていく感じ、そんなあざとい手には騙されないもんねと用心していたにも関わらず、いつの間にかブライアン・フェリーの掌の中で弄ばれているような気分になるのです。
その弄ばれているような感覚、違和感がだんだん快感になっていく感じ、あぁ負けましたって感じがなんともいい(笑)。



ベタですが、この“More Than This”の、黄金色の夜明けのような輝かしさ。
すごいね。

最初に聴いた高校生の頃はこの良さがまるでわからなくって、なんだかヌメヌメと気持ち悪い音だと思ったのだから、まったくガキだったんだな。
で、この『Avalon』の心地よさに目覚めてからロキシー他の作品を聴いてみたんだけど、それはいまいちしっくり来なくて。
なんだろう、やっぱりリズム隊の心地よさだろうか。
スムーズでありながら、ただ流れていくのではなくはっきりと意思のあるリズム。

催眠と覚醒が同時進行するような不思議な感覚。
その確かな煌めきと、心を流れるままに落ち着かせる確かな存在感。

やはりこの音楽はゴールドだ。
チープな金ぴかではなく、高貴さの漂うゴールド。

このアルバムの良さに突然目覚めたように、ある日突然、金の装飾品を身につけるようなことがあるのだろうか。
うーん、ないな(笑)。
ゴールドの煌めきや確かな存在感は、自分にはあまり似合わないもの。
これみよがしに金の時計をチャラチャラさせるより、心の見えない場所にこういう金色を少しだけ持っておくのが素敵なような気がするのです。






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コメント

[C3376]

非双子さん、こんばんはー。
そうですね、俗っぽさがないというか、俗を極めた末に俗レベルを突き抜けてもっと高いところへ行ったというか。
素晴らしい音楽であることは間違いないです。
こういうリッチな音って、今ほんとに聴けなくなりましたもんね。。。
  • 2020-05-22 22:38
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3375]

若いお姉ちゃんの写真を使わない唯一のアルバムかな?
他のアルバムとは違って俗っぽさが無いような、、(笑

輸入レコード屋で先入観無しで「ジャケ買い」
ブライアン・フェリーの”Bete Noire”とともに愛聴盤ですね
  • 2020-05-22 22:18
  • 非双子
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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