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音のパレット〈イエロー〉

イエロー。
真っ黄色。

基本的には明るい色だ。
刺激的な色、テンションを上げる色。
ただ、オレンジや黄緑なんかと比べたときに、ちょっと押し付けがましいところがある。
安らぐ色ではない。
例えば、部屋の壁がすべて真っ黄色だったら、とても落ち着けない。
躁状態というか、どこかぶっとんでいて、何かが過剰で、うっすらと狂気を孕んでいるような感じもある。


さて、そんな黄色の音楽といえば、これだ。


Never Mind The Bollocks /Sex Pistols

ジャケットの真っ黄色に引っ張られている感もなきにしもあらずですが(笑)、このレコードにある破壊力やぶっとんだエネルギー、躁状態的明るさは、僕がイメージする真っ黄色そのものだ。

えげつないほどぶっとんでいて、どこかが過剰。
ガハガハと高笑いをしながらマシンガンを連射するような狂気を孕み、毒っ気たっぷりに悪態をつきまくるジョニー・ロットン。
自らをデフォルメしてキャラクター化させて、それを嘲笑うようなユーモアも含め、その圧倒的な存在感が気持ちいい。

彼らのユーモアは、世界があまりにもアホ臭いから笑い飛ばしてやるというメッセージであり、そのことで教条主義的世界観から開放されて自由になることを志向している。
その表現スタンスっていうのは、世界中を真っ黄色に塗りつぶしてしまうような感じではないかと思うのだ。



このツバを吐きまくってわめきちらすヴォーカル・スタイルは、今の情勢では完全にアウトだな(笑)。

コロナ後の世界は、より衛生的に過敏で潔癖になっていくとすれば、こういう毒っ気のあるものはより排除される方向へ向かうのだろうな。
でも、毒や狂気というものは、本来的に排除すべきものではないはずだ。
ウイルスはなくならない。
共存していくしかないのだ。
自粛警察なんていう過剰反応が話題になったけど、生き物は本能的に外敵をシャットアウトし攻撃しようとするものだから、その恐怖はわからないではない。
でも、そんなのは正義でもなんでもなく、恐怖心垂れ流しなんだ、ということを自覚すべきなのだと思う。
どこからどう見ても非のうちどころがない完璧な人格者なんていないように、人は誰もどこかが欠落していて何かが過剰だ。その過剰と欠落を自覚しない人たちは、他人へも潔癖を求めようとしてしまうのだろう。
だから、まずは自分の中の毒や狂気を、ちゃんと見つめて受け入れた方がいい。
ウイルスはなくならない。
毒や狂気をあるものとして受け入れた方が、生きることはかなり楽になるのだけれど。

ピストルズの音楽は、毒や狂気をわかりやすくデフォルメして可視化してくれている。
こういうえげつなさや汚さや破壊への欲求は自分の心の中にもある。
そのことを知ることではじめてそれを制御することができるのだと思う。

「黄色」のテーマからずいぶん話がずれてしまったけれど、黄色が持つ刺激やテンションの高さやユーモア、エネルギーの大きさや過剰さは、時には大きな推進力になる。
重たい気分がなかなか拭えないこのご時世だからこそ、たまには真っ黄っ黄でぶっとばすのもありだ、と思ったのです。




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コメント

[C3374]

ezeeさん、まいどおーきに♪
毒をもって毒を制す、じゃないけど、純潔、潔癖よりも多少の毒は世の中に必要です。
ジョニー・ロットンのアホ臭いくらいの存在感。
良い子になりすぎちゃダメですよね。
  • 2020-05-19 22:34
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3373]

まいどです。いいですね、共存すべき毒な存在。
なんでも排除してたら、ろくな世の中にならんすよね。
必要悪でもあるジョニー・ロットンみたいな、かしこいおバカさん。
やっぱピストルズ、最高でんな〜

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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