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ブックカバーチャレンジ

FBで「ブックカバーチャレンジ」なるものが回ってきた。
要は7日間続けて本の画像をアップせよ、とのこと。
本についてのコメントは不要なのですが、がっつり書いたのでこちらにも転載しておこうかと。
7日分まとめてなので長いよ(笑)。


ブックカバーチャレンジ1日め。



本を読むのは大好きというか、日常の一部です。
どれくらいかというと、年に100冊は読んでいる。
二週間に一回は図書館で10冊くらい借りてきては毎晩かわりばんこにパラパラ読んで。
ただし、内容はまるで覚えていない。あ、それって、読書家というよりはただの活字中毒やん(笑)。

ブックカバーチャレンジは、読書文化の普及が趣旨ということなので、一冊めはこの本にしよう。

池澤夏樹
『海図と航海日誌』


優れた書評家でもある池澤さんが、読んできた本を通じて文学を語る中で、自らの半生をうっすらと描き出した作品。
池澤さん自身の言葉を借りれば「その航海が運んだ貨物を無視して海図と航海日誌の側面だけを振り返ってみた」もの。とはいっても、単なる読書感想文ではなく、独特の分析的かつ冷静な切り口で、言葉や文学の持つ意味が語られている。

この本の序章で池澤さんは本を読む意義について「日々の糧と回心の契機」であると述べている。
ある本と出会うことで時には人生の方向が変わることもある。
そういうきっかけとしての本。 これが「回心の契機」。
しかしだからといって、人は人生を変えるために本を読むわけではない。
肉体が空気や食物といった外部のものを取り入れて吸収して自身を維持しているように、精神も同様の代謝を必要としていて、人は外界からの情報を得ることで自身を維持している。
そういう意味で読書は「日々の糧」なのだ、と。



ブックカバーチャレンジ、2日め。



趣味は読書と音楽鑑賞です。
そう書くといかにもありきたりですが、実際そうなんだから仕方がない。
本も音楽もいわゆる「日々の糧」。
ステイホームな毎日が続いたとしても、本と音楽があればだいじょうぶだ。

音楽は当然聴くものですが、音楽について語られたものも大好物です。
アーティストの自伝や人物評、レコードガイドと音楽関係の本もいろいろありますが、データがずらずらと並んだバイオグラフ的なものよりも、その人と音楽との関わり、人生と音楽との関わりが垣間見えるものが読んでいて楽しい。

ということで、2冊め。

山川健一
『ハミングバードの頃』


『ブルースマンの恋』『彼が愛したテレキャスター』と並んで東京書籍から出ていたCD付きのシリーズ。
山川健一さんは、高校生~大学生にかけて一番よく読んでいた作家で、山川さんの世界観やロック観には当時けっこう影響を受けたと思う。
文章力は今のブロガーとそう変わらないんだけど、そこが逆によかった。

高いところから世間を見下したり斜めに見たり、穴蔵のような場所から妄想を書くのではなく、同じような場所で、同じような目線で、走りながら書いている感じ。
同じようにロックが大好きな、テキトーでいいかげんでやんちゃな兄貴分。
そういうところに共感したのだと思う。



ブックカバーチャレンジ3日め。



藤原新也
『印度放浪』


すっかり角が丸くなってはげかかったこの本。
高校生の頃、初めて読んで、もの凄く衝撃を受けた。
その写真の一葉一葉、文章の一行一行が突き刺さるように飛び込んできて、ある種の思考を強要してくる。
俺は自分を捨ててインドへ行ってこんなことを体験してきてこんなことを感じてきた、さぁ、オマエはどうなんだ、オマエは何者で、何をするんだ、と、若き日の藤原新也が喉元にナイフを突きつけるように迫ってくる。
その感覚を今もよく覚えている。

「一年浪人して勉強したら関関同立くらいは狙えるんじゃないか」という担任の言葉を振り切って京都の小さな大学を選んだのも、大学を出てとりあえずパンメーカーに潜りこんだものの、とっとと辞めてバックパックで海外をうろついた挙げ句に三年も無職生活をすることになったのも、そういう選択をした背景には間違いなくこの本の存在があった。

そういう意味でこの本は「回心の契機」だったわけだ。




ブックカバーチャレンジ4日め。



このバトンを回してきたKくんは、大学の落語研究会の部長でした。
僕も落研にいたわけですが、そのことはあんまり社会に出てから公表していないのです。
落研というと必ず「小咄やってくれ」と求められるから(笑)。
で、そういうのがウケたためしはない。
なにしろ在籍4年間でせいぜい3つくらいしかネタを覚えなかった怠け者。
落語についても、まったく詳しくないのです。

でも、落語は大好きなのですよ。
ひとりで複数のキャラを演じ分け、言葉と仕草と表情を緩急自在に操って聞き手を別世界へ運んでいく芸。
演者によってテイストがまるで変わるし、ガチガチの古典踏襲でもなく時代に合わせて新しさも取り入れられるし、実に奥が深い。
おもしろいという言葉にはただ楽しいということ以外に興味深いという意味が含まれるけど、まさにそれだ。
英語で言うfunやamusingではなく、interest。
いや、funもamusingもinterestも全部あると言うべきか。

さて、本の紹介。

中島らも
『らも咄』


中島らもさんによる創作落語集。
ベタベタな笑いに潜む、らもさんらしい毒やブラックユーモアがいい。
何よりそのフェイク感が中島らも。
ほんとは『米朝上方落語全集』や『らくごDE枝雀』といきたいところですが、4年間で3つしかネタを覚えなかった自分にとっては、このフェイク感がちょうどいい。



ブックカバーチャレンジ5日め。



interestといえばこの方。

佐藤雅彦
『毎月新聞』


日常どこにでもある、気がつかなければそのまま普通にやりすごしてしまうことの中に潜んだ、なんともいえないおかしさやおもしろさ。
全然違う角度からそんなものを見つけてきては「これってなんだかおもしろい!」と思えるセンス。
佐藤雅彦さんの、世の中のちょっとヘンなことを見つけだすセンスはピカイチだ。

世の中には、「なんだそりゃ?」「なんでそんなことになってんの??」みたいなことはたくさんある。
いちいち怒っていたらキリがないし、だからといって見て見ぬふりをして「世の中こんなもんだからさ。」なんて斜に構えてしまうのもつまらない。
そんなときは、そのおかしな光景を笑ってやるに限る。



ブックカバーチャレンジ6日め。



読書の目的は幾つかに分類することができる。

まずは知識を得るための読書。
ハウツー本や新書なんかはそういう役割。
そして単純にエンターテイメントとしての読書。
ミステリーや推理小説、時代小説など、プロットとストーリーを楽しむもの。
それから、感情をなぞって共感を得る行為としての読書。
小説や随筆のほとんどはここにあたるのだろう。

若い頃は、共感できる小説や随筆を読むのが好きだったけど、この歳になって改めて知識欲が湧いてきたというか、歴史や科学などを解りやすく教えてくれる本を選ぶことが多くなってきた。
知らなかったことを知っていくということが単純に楽しい。

しかし、ただ聞きかじりたいだけの所詮は素人。
専門書的なものになると当然重くて消化できないわけで、専門的な研究で得た知見を素人向きにおもしろおかしくかみくだいてくれる本がありがたい。

例えばこういう本。

松原始
『カラスの教科書』


著者は大学の助教授で、博物館での研究員の傍らでずっとカラスの研究をしているらしい。
とにかく随所に現れるカラス愛が素敵。
だからといってべったり持ち上げじゃなくって、時には学術的な視点でクールに、時にはあほくさいくらいのカラス愛まるだしで、そのバランス感覚がとても好感が持てるのです。



ブックカバーチャレンジ7日め。



いろいろな本をたくさん読むけど、寝る前なんかに何も考えずに落ち着いて読めるのはやはり随筆だ。
日々の些細な出来事の中のなんらかの心の動きを書き連ねた中に、ほわっと人生の機微が垣間見える。
理屈じゃなくそういうものをふわっとゆるーく感覚的に受けとる。

随筆は女性の書くもののほうがやわらかくて馴染みやすく深みがある。
須賀敦子さんの美しい文章や、江國香織さんのちいさくきらっと光る感じ、ちょっと不思議な感覚の小川洋子さん、バイタリティーあふれる平松洋子さん、好きな作家はたくさんいるけど、一番印象が強いのはこの方。

武田百合子
『ことばの食卓』


戦前の子供時代の思い出すら、その情景が目に浮かぶほど子細に描かれ、微妙な心の動きまで手に取るように伝わってくる。
描かれたエピソードはどこか少し不穏で、しかし結末はいつも説教くさくまとまらず、ふわぁっと宙に投げられたまま締めくくらずに終わる。
そのなんとも奇妙な感覚が不思議に心地よい。

僕は理屈っぽいけど、やっぱり理屈よりも感覚が大事、なぜなら・・・と理屈っぽく考えています。




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コメント

[C3372]

Bach Bachさん、こんにちは。
落語は全然詳しくないのです。
江戸落語はからっきし。米朝と枝雀しかわかりません(笑)。
  • 2020-05-16 13:38
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3371] へえ

落語研究会にいらっしゃったのですね。まったく詳しくはないのですが、東京に行くと必ず末広亭に行くぐらいの落語好きではあります。CDも20枚ぐらい持ってます、志ん生ばかりですが(^^;)。

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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