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音のパレット〈ライムグリーン〉



テレビのCMで流れていたきれいなメロディーに耳を奪われたのは、中学生になったばかりの頃だった。
モンキーズの“Daydream Believer”。
まだ初恋すらしていない頃。
歌謡曲とは違う、もっと豊かな音楽が世界中にあるんだとうっすらと気づきはじめた頃。
あぁ、こういう青春っぽいドキドキとときめくような世界があるんだなぁ、って。
当時の歌謡曲って、もっと演歌に近いドロドロした情念っぽいものが底の方に流れていたからね、そういうのとは違う爽やかな感じにときめいた。
だからといってレコードを買うほどでもなく、ただなんとなくいいなって思っていただけで、やがて流行りの洋楽も少し聴くようになり、音楽雑誌なんかも読むようになると、「モンキーズは、ビートルズに対抗するためにアメリカの音楽業界がメンバーをかき集めたただのアイドルグループだ」なんてそういう雑誌で書かれていた情報を鵜呑みにして、なーんだ、そうだったんだ、って思ってそのままモンキーズの存在そのものを忘れてしまったのだ。
甘っちょろい懐メロポップスよりも、もっと刺激的でかっこいい最新型のヒット曲が山ほど溢れていた、ということもある。

再びモンキーズを「いいな」と思ったのは、ひととおりいろんな音楽を聴いて頭でっかちになりかけていた30代半ば以降のことだった。
いろんな音楽、、、当時最新型だったグランジやオルタナっぽいのやヒップホップ、フリージャズやらいわゆるワールドミュージックみたいなものもひととおり聴いていたものの、「で、結局、自分はこういう音楽が好きなの???」みたいな感覚になり始めたことがあって。
そんなときにふと流れてきた“Daydream Believer”がものすごく心地よくって。
あ、なんか、頭でっかちで音楽聴こうとしてたのかも、ってそのとき思ったんですよね。
もう、道を究めるみたいな感覚で、好きかどうかもわからない音楽を聴こうとしていた。
いや、そんなことよりも、この心地よさが大事なんじゃないの?って。
楽しいはずのものを苦しみに変えてどうする。もっと素直に心が喜ぶものを聴けばいいんじゃないの?って。

そのときの感覚は、例えるならば柑橘系の爽やかな風のような感じ。
色にするならばライムグリーン。
だから、僕にとってモンキーズの色はライムグリーン、ライムグリーンといえばモンキーズなのだ。

20200421045832e17.jpg

Greatest Hits / The Monkees

ちなみにこの“Daydream Believer”、ZERRY氏による日本語詞では♪もう今は彼女はどこにもいない~、っていう悲しい歌になっていますが、原曲は悲しい歌ではありません。

彼女が歌う歌みたいにさえずる青い鳥の羽根に包まれていたいなぁ。
目覚まし時計なんて鳴ってほしくない。
でも現実、目覚まし、鳴っちゃう。
眠い目こすって起きなきゃ、、、
髭剃りの刃がヒリヒリするなぁ。

しっかりしろよ、ねぼすけジーン
それがどうしたっていうんだい。
夢見心地の僕と学園祭の女王にとって。


つきあいはじめた彼女と迎える朝。
幸せなシチュエーションにありながら、100%満足ではなく、幸せなのにどこか不安、という感覚。
剃刀がヒリヒリするんだ、とか、二番ではお金ってほんとはどれくらい必要なんだろ、とか、現実的な感覚と夢の中の感覚がいったりきたりするような微妙さが表現された歌です。
なんとなく、イメージは初夏の朝。
爽やかさ、心地よさと、少しの憂い。
その感じもライムグリーンかな。





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コメント

[C3368]

非双子さん、こんにちはー。
60年代後半くらいはまだまだ海外のドラマやテレビ番組が普通に流れてたんですね。
僕が経験したのは80年前後で、その頃第二次ビームみたいのが来てたんだろうと思います。
  • 2020-05-04 07:45
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3367]

コメディードラマの「ザ・モンキーズ」を小二の頃、リアルタイムで見てましたよ!
私にとっては最初に馴染んだ外国の歌、部分的にカタカナ英語で歌ってた(笑
テレビで見ていたから、日本の歌謡曲(GSや演歌やフォーク等)との区別なく聞いてたような気がします。
  • 2020-05-03 23:41
  • 非双子
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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