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音のパレット〈オレンジ〉

音のパレット、今回はオレンジ色。
赤や白とは違って、その名前は果物からの借用だ。
橙色、柿色と言い換えても同じこと。
熟した実の色であるという共通点が示すように生き物が本来好む色でありながら、物の色に例えた名前しかつかなかったのはなぜなんだろう。
ひょっとしたら原始人たちはこの色に別の固有の名前をつけていたけど忘れ去られてしまったのか、それとも果物の実の色であることの存在感以外あまり用を為さなかったのか。

オレンジ色が一番好きな色、という人がたくさんいる気はしないけど、オレンジ色が大嫌いという人もあまりいないかもしれない。
基本的には明るく暖かく、オープンでポジティブな色。
悪く言えばどっちつかずで主張が薄い色。
どこか副次的、サブ的な役割が強く、一方で汎用性は広い。

さて、そういうオレンジ色の印象から思い出したアルバムがこれ。
エルヴィス・コステロの“Get Happy”。



コステロ自身は、どんな色にでも姿を変えるカメレオン的なところがあるけれど、原色の人ではなく中間色の人である印象が強い。どんな色をどういう配分で混ぜ合わせるかがこの人の持ち味。
このアルバムはそんなコステロが、60年代モータウンやソウルを借りてきてオレンジ色一色に染め上げたようなアルバムだ。
今度は誰もが大好きそうなフルーツを集めてみたんだが、って感じ。
一曲めの“Love for Tender”からラストの“Riot Act”まで、ポップでソウルフルな楽曲をこれでもかと20曲、どの曲も2~3分、曲によっては1分台すらあって、練り込んで作ったというよりはできたて・もぎたてのフレッシュ感。

フルーツっていうのは甘いことが良しとされて、スーパーなんかでも「糖度○度」なんて表示を見かけたりもするけれど、本当においしいと感じるのは、糖度だけじゃなく酸度とのバランスなんだそうですね。
いくら糖度が高くても酸度が低ければただただ甘ったるいだけ。適度な酸度があるほうがより甘みを感じる。
そういう点でも、このアルバムはおいしさ満点だ。



糖度も酸度もしっかりあって、ところどころに苦味や毒を忍ばせつつも、見かけは甘ぁいフルーツ盛り。
20曲ぎっしり詰まって、全部食べるとお腹いっぱいになるわりにちょっと食い足らなさを感じるところもフルーツっぽい?

オレンジ色がテーマだったのに、フルーツの話になってしまった(笑)。
やはりオレンジは、フルーツっぽさを象徴する色なんだろうか。
甘さと酸っぱさを象徴する色。
実りの色。

明るいオレンジにある、ある種の充実感や達成感は人生に必要なもののひとつ。
あるとないでは大違いだという気がします。
ほんの少し、人生にオレンジ色の彩りを添えて。






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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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