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音のパレット〈白〉

音のパレット、第2回は白。
白、という色から連想されるものといえば、花嫁のウエディング・ドレスだったり、平和の象徴の白い鳩だったり。
或いはパリッとクリーニングされたワイシャツだったり。
真っ白い画用紙というと、何かが始まる希望の感じがする。
一方で、真っ白い答案用紙というとゼツボー的な気分を思い出す(笑)。
白けるとか、頭の中が真っ白になる、とか、白旗をあげる、みたいにマイナスのイメージでも使ったりするけれど、概して悪いイメージではない。
善いイメージとしては、純潔、清潔、ピュア、平等、平和。
マイナスっぽい使い方にしても、どこか平和的というか、争わないイメージがありますね。
ポジティブなイメージばかりではないけれど、ネガティブでもない。
敢えて言えばニュートラル。

ポジティブ過ぎる人は苦手なんだけど、ネガティブ過ぎるのもしんどい。
自分自身、若い頃は感情の起伏が激しかったので、いつもニュートラルな立場で振る舞える人には昔からすごく憧れがありました。
ニュートラルな人はまるで真っ白い画用紙みたいで、自分が元気なときはその画用紙も元気で明るい絵でいっぱいになるし、自分が落ち込んでいるときにはその絵も暗く重苦しくなったりする。
そこに映った自分の姿を見て、より元気が増幅したり、こんなんじゃダメだなぁーって思ったり。
そうやって誰かに頼りながら、だんだんと自分もニュートラルな状態を維持することを体得してきた感じがする。



白のイメージの音楽。
思いついたのは、ハワード・ジョーンズのこのアルバムでした。
白、というより正確には 「木綿色」や「生成」に近いイメージだけど。


Howard Jones “Human's Lib”

打ち込みっぽい音は当時も今もそんなに魅力を感じないのだけど、この人の音は、シンセを使っていてもどこか温かみがある。
ナチュラルというか、自分なりの理想や信念はあるけれど、それを振りかざしはしない。
気負わず、悲観せず、憎まず、争わず。
いろんなごちゃごちゃはあるけれど、それを白いハンカチで包みこんだような音楽だと思う。



この歌をうたえる日を
ずっと長い間待っていたんだ
目に見える物に惑わされてはいけない
耳に入る言葉に惑わされてはいけない

立ち向かっていく気持ちを持つ友達に
この歌を贈りたい
偏った考え方に立ち向かい
長い間居座り続ける恐怖にさよならを

へこたれてちゃだめだよ
頭をフル回転させて
物事の両面を見て
心を縛り付けている鎖を投げ捨てるんだ

ヒップにもクールにもなりたくない
ルールに従うためにプレイするわけじゃない
幾人かの皮肉屋たちに押えつけられたり
凶運に踏みつぶされたりしたくない

へこたれてちゃだめだよ
頭をフル回転させて
物事の両面を見て
心を縛り付けている鎖を投げ捨てるんだ
(New Song)


こういう考え方、今こそ必要なんじゃないかという気がするね。
ニュートラルなスタンスの平和主義。
柔らかな異議申し立て。
ゴリゴリ主張しても、反感を買うばかりだったり、相手が期待どおりのリアクションでないことにがっかりしたり。

白いハンカチで包みこむような、明るさや思いやりがほしいな、と。






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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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