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座右の名曲(11) Life Goes On

The Kinks
Life Goes On




逃げることもない
恐怖に向き合わなくてもいい
君が無防備だって
人生はそこにある
ある日そいつはやってきて
君はただ受け取ればいい
君が予想もしないうちに
そいつは突然やってくるんだ
そして君もいつか逝く
そのときになってわかるんだ
人生は続いていくんだって
君がいい奴だったか
それとも嫌な奴だったか
正しかったか間違っていたか
そんなことは誰も気にとめやしない
だってそれぞれの人生は
続いていくんだから


50代も半ばに近づいてくると、嫌が応でも体の衰えを意識せざるを得なくなる。
階段を三階まで昇ったら息があがった。
どうってことのない段差でつまずいた。
視力がまた落ちた気がする。
小便の切れが悪い気がする。
あぁ、これが加齢というものなのか。
少しずつ体の機能が衰えていく。
そしてその先にある死というものが、例えばマラソンのゴールの競技場の姿が遠くに見えるみたいに、ずっとずっと先だと思っていたのに、わりとすぐ先に感じられるようになる。

死が不安かと問われれば、誰だって不安だと答えるだろう。
だって、生きている者はみんな未経験なんだから。
まして降って湧いたようなこの危機的状況では、つい先日までピンピンしていた人がばったりと死んでしまうことが全然不思議ではないのだから。

そんな不安な気分をふきとばしてくれるのは、例えばキンクスのこの歌だ。

人生は続いていく
誰も気にとめやしない


そーゆーもんなんだと思えば、なんとなく気分が楽になるよね。
そーゆーもんなんだ、と。
それは諦念や絶望とはちょっと違う。
生命46億年、人類200万年の歴史の中で、今までどれだけの命が生まれて消えていったか。
それを思うとき、自分もその環の中のひとつになることは何の不思議もない自然なことだと思えてくる。
特別ことでもなく、遅かれ早かれ誰もが最終的には経験すること。
普通に生きてて明日も自分の人生が普通にあると思っているのが突然遮断されたりするのはかなり癪だけど、まぁある程度は満足して生きたのだから合格点だと思えなくはない。
迷惑もかけたけど、迷惑かけられた分や多少の人の役に立ったことも差し引けばまぁまぁイーブンだろう。
自分の体が消滅しても、心はしばらくの間、誰かの心の中で生き続ける。
その間はきっと本当の死ではないのだと思う。
もちろんやがてはそれも消えていくけれど、それでいいんじゃないか、と。
天国も地獄も前世も来世も、きっとどうでもいい。
生きているうちに、生きている価値を楽しめれば、それでじゅうぶん。

この時期のキンクスは、へろへろでゆるゆるで和みますね。
この歌みたいに、ふらふらと、飄々と、シリアスになりすぎずに、「あらら、たいへんだねー」とか言いながら、いろんなことをのんびり眺めていられるのがいいな。
そういう感じで、どこか他人事みたいに自分の人生を生きられるといいな。


Sleepwalker / The Kinks





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コメント

[C3366]

>リーチさん
キャッチーなヒット曲もなく、ルックスも地味、聴いてもスカッと楽しくはならない、となれば、大衆的な人気が低いのもやむを得ないとは思います。

  • 2020-04-27 07:45
  • goldenblue
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[C3365]

The Kinksは音楽の幅が広くてなによりも歌詞にイギリス的ひねりが利いていておもしろいですね。それにしてもかなり大物そうなんだけどなんでこんなに日本で無名なのですかね...^^;
  • 2020-04-26 19:43
  • リーチ
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[C3364]

リーチさん、コメントありがとうございます。
確かに、全然人生を応援してくれないユルさですね(笑)。
このユルさがはまるとぬけられない味わい。
こういうご時世ですから、ユルくいくのがいいんじゃないかと思っています。
  • 2020-04-26 18:12
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3363] Life goes on and on and on

ロックには全く縁のなかった私が昨日からなぜかThe Kinksに興味を持ったのですが、これはとてもいい歌ですね。人生を全然応援してくれないユルサがたまりませんね(笑)
  • 2020-04-26 11:46
  • リーチ
  • URL
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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