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カーリングシトーンズ

僕が通っていた大学は京都の小さな大学で、バンド演ったり演劇やったりしているちょっと一風変わった連中は、すぐに目についた。
軽音などの音楽系サークル、劇団、落研、美術部や写真部の、それぞれちょっとクセのある奴らは、たいてい誰かが誰かの友達で、友達の友達がすぐに友達になって、学食の大きな黒テーブルあたりへ行くとだいたい誰かいて、そこでくだらない馬鹿話ばっかりしてた。時にはレコード貸し借りしたり、ライヴやイベントのお誘いがあったり、時には訳のわからない世界観を披露しあったり、底なしの哲学的な話に深入りしたり。
どの部も基本は先輩後輩中心の縦社会であまり他の部との交流をしたがらない自分たちだけでまとまるのが普通だったけど、なぜか僕たちの年代だけは横のつながりが強くて、サークルを飛び越えて軽音のギタリストとフォーク研のフォークシンガーがセッションユニットを組んだり、落研のメンバーが音楽系サークルのライヴのMCをしたり、劇団の演出がそういうメンバーを巻き込んで別プロジェクトで芝居を演ったり、そのイベントのテーマ曲を軽音のバンドが作ったり、そーゆーことがたくさんあった。
OBたちはそういうのを「自分の部の活動もろくにせんと、、、」と冷ややかな目で見ていたけど、僕たちはそういう枠組みなんかより、目の前にあるおもしろそうなことに夢中だったのだ。
縦社会的強制力で動くよりも、横のつながりでお互いがおもしろいことをやりたい、という感じが無意識にあった。



先日、“2019年のニューアルバムをたった1枚しか聴いていない”と書いたのですが、その直後に、2枚目をゲットしました。

カーリングシトーンズのファーストアルバム『氷上のならず者』です。

20191214003725474.jpg

それなりのキャリアを持ってそれぞれに活動しているベテランたちが、まさかのグループ結成とアルバム・リリース。
全員シトーン姓を名乗って、ってのは、ちょっとトラベリング・ウィルベリーズを狙ったんだろうかね。
奥田民生、トータス松本、斉藤和義、寺岡呼人、浜崎貴司、YO-KING。
6人とも、熱心なファンではないにしろアルバムの一、二枚は聴いたことあるし、フェスみたいなとこで観たこともある。ほぼ同世代で、聴いてきたものも近いんだろうな、と自然と共感してしまうアーティストたちだ。
そういえばトータス以外の5人は、寺岡がプロデュースしたチャボのトリビュート・アルバムに参加してたメンツだね。
それぞれにピンで活躍しているメンバーたちなので、もっとエゴの張り合いやプライドのぶつかりあいみたいなのがあっても普通なのに、そーゆー感じはまるでなく、ゆるくて楽しそう。
大ベテランなのに、大御所風を吹かすこともなく、ノリがめちゃくちゃ軽い。

このゆるさ、軽さ、水平型の世界観はなんとなくこの世代ゆえ、って感じもするんですよね。
少し上の世代までは「○○一筋」「一国一城の主たるもの」みたいな、よく言えば筋が通った、悪く言えば硬直的な、垂直型の思考形式が根強くあった。敗戦から高度経済成長を支えてきた上昇志向と、徳川時代の儒教的父兄家長的な世界観の名残りのようなものなんだろうな。
昭和40年代生まれになってくると、そういう垂直思考がどんどん崩れてくる気がする。世の中にモノが行き渡り便利さがあたりまえになる中で、上の人たちのやり方に違和感を抱きながら育ってきたせいだろうか。
逆にもっと若い世代では既に垂直型思考は完全に崩壊していて、水平型どころかべちゃっと型を成さず「内の世界でこぢんまり」が普通になってしまったような。
いいとか悪いではなく、育った時代による考え方の違いはあって当然なんだけど、カーリングシトーンズのやり方って、すごく同世代的だと共感してしまうのですよね。


このメンツでなんかおもしろいことやりたいよね、とりあえずやってみよーぜ、っていう軽いノリと、お互い縛りなく楽しくやろうぜというゆるさ。
その一方で、これだけのメンバーでやる以上しょーもないもんは出せないというプライド。
このメンツでやるからこその楽しさを思いっきり楽しもうというスタンス。
スケジュールの調整やレコード会社との交渉やら、思いつきを実現するにはきっと現実的なハードルはたくさんあっただろうけど、それを乗り切るフィットワークの軽さ。

1曲めのまるっぽジャンピンジャックフラッシュな“スベり知らずシラズ”から、バンドのテーマ曲っぽい、斉藤の“何しとん?”、浜崎の“俺たちのトラべリン”。
ファンクな“B地区”にロックンロールな“出会いたい”、トータスが歌うド・ブルースな“夢見心地あとの祭り”、ラストのモータウンな“涙はふかない”まで、ニコニコしながら聴いた。





へんな意地やこだわりなんて捨てちゃって、みんなこんなふうにおもしろいことを楽しめばいいのにね。






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コメント

[C3345]

ツキさん、こんばんはー。
ミュージックフェア出てたのかー。裏のスポンジボブ観てたわ(笑)。
楽しいのが一番ですね。
健康にも、楽しいことするのが一番いいんじゃないかと思ったりします。
  • 2019-12-15 22:57
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3344]

カーリングシトーンズ、たまたまミュージックフェアで観ました。楽しそうだったわ。
大忘年会も終わり、いよいよ年末に突入。お身体に気をつけて、無事にお過ごしくださいね。
  • 2019-12-15 21:49
  • ツキ
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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