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オレンジ&ターミナル

乗り遅れてもいいのだ
あの汽車には用はないのだ
乗り過ごしてもいいのだ
降りたところが君の居場所なら
( どこかの駅で / 福田ユウイチ)


日曜日、西成区の難波屋。
学生時代からの友人である男のライヴがあった。
富山をベースにこの数年は年間50本近くも演っている彼にとってもはやライヴは日常なんだろうけど、大阪で演るのはしばらくぶりのこと。
転勤で長いこと東北のほうへ赴任していた別の友人が関西へ戻って来ていて「久しぶりに会おうや。」とか言ってたところでの大阪ライヴの話があって、「じゃあライヴの時間までジャンジャン横丁で飲もう。」ってなことに。
わりとしょっちゅう会ってる珍しくない奴からかなり久しぶりの奴までなんだかんだで7人ほどが集まってのまだ明るいうちからの飲み会に発展。
結局、ライヴ前にすっかり出来上がってしまった。

普段は富山でパン屋を営んでいる彼が本格的にライヴ活動を再開してから、かれこれ10年少しだろうか。
当時は「まだ子供が小さいし」となかなか出かけてこれなかった女の子も子連れで参加。その娘が22才、息子が20才っていうからちょっとびっくりしてしまうよなぁ。
ちょうど彼らくらいの年頃だった僕たちも、まぁいろいろなんだかんだありつつも、それなりの大人になった。

時刻表通りに進んできた奴なんて誰もいない。汽車に乗り遅れてたり乗り過ごしたり、敢えて汽車から降りてみたりしながら、降りたところでそれなりにやってきたってことだ。

20190123213726cee.jpg
オレンジ&ターミナル / 福田ユウイチ with 後藤トシロウ

このCDは、彼がギター弾きの後藤トシロウさんと組んで一年ほど前に録音したアルバム。

なんだかんだでかれこれ40年近くも音楽を聴いてきてかなり自信をもって言えることは「いい音楽」と「それほどでもない音楽」がはっきりわかることだ。
友人だから言うわけじゃなく、このアルバムに収められた音楽はとてもいい音楽だ。

アクの強いヴォーカルで叫ぶように歌い、叩きつけるようにギターを鳴らす。
毒を含んでシュールでナンセンスな言葉の中に、まるでぬかるみの中にぽっこり咲いたような美しい言葉が浮かんでくる独特の言葉選び。
言葉のリズムの上に成り立っているメロディーは、クセがあるようで意外に素直で、時々、幼いときに見た夕焼け雲みたいに日本的に美しかったりする。

彼はいつの間に、こんなにいい歌を書くようになったんだろう。
僕の隣でからだを揺らしていた松たか子似の女の子がため息をつくように「かっこいいー。」ってつぶやいた。
ん?僕が知っている彼は、女の子から「好い人」とか「おもしろい人」ならともかくも「かっこいい人」と言われるようなタイプの男ではなかったはずだ。
でも、その夜、彼は僕の目から見ても、実際とてもかっこよかった。



お時間がありましたら、数曲聴いてみてください。













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コメント

[C3271]

波野井さん、コメントありがとーございます。

やっぱりいいんですね、彼の歌。
昔から知っているとかえって客観視できにくいところがあって。
世界観、声、歌い方、メロディー。
どれも出せそうで出せない味がありますよね。

  • 2019-01-28 22:20
  • goldenblue
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[C3270]

めちゃくちゃカッコいいですね。
ギターは生で聴いたら
きっと違った感じで、またさらに
ぐっとくるんでしょうね(^^)。

詞の世界観とか、声とか歌い方とか
メロディとか、すっごくいいですね!
パン屋さんとミュージシャンというのも
なんだか素敵です。
  • 2019-01-28 19:44
  • 波野井露楠
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[C3269]

つき子さん、こんばんはー。
富山といっても、市内ではなく小矢部の方だから、けっこう遠いかもです。

  • 2019-01-25 22:14
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3268]

富山のパン屋さん?富山に行ったときに近かったらパン買いに行ってみますねー。
  • 2019-01-25 20:38
  • つき子
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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