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平成31年

三が日も過ぎてしまいましたが、改めまして、新年明けましておめでとうございます。

平成31年。
5月には別の元号に変わることがあらかじめわかっていながら、とりあえず平成31年として新しい年を祝う、というのはなんとも奇妙な感覚がするものですね。

645年の「大化」以来、元号は1372年間で247の変遷があるそうだけれど、基本的には予告して変わるものではなかったから、こんなふうにあと5ヶ月で元号が変わるとわかっていながら正月を迎えるのは歴史上初めてなのではないかと。

平成元年になったときもすごく不思議な気分がしたけどね。
当時の一億人の日本人のうち、改元を経験した人なんてほんの一握りだったから。


1989年の1月、大学4回生だった。
僕は、京都市内の下宿で、休み明け〆切りの卒論をせっせと書いていた。
次の日、アルバイト先のレンタルレコード店へ行ったら、「本日は賑やかな音楽は自粛せよ」との本部からのお達しが来ていて、ずっとクラシックのレコードばっかり掛けさせられたのだ。
めっちゃ眠たくなってきて仕事にならないし退屈だし、ってんで景気付けに遠藤ミチロウを掛けようとしたら、店長に本気で止められた(笑)。


平成元年にはそんな不埒な大学生だった僕もあと数ヶ月で52才。
考えてみれば、個人的な平成の30年間はちょうど人生のど真ん中、子供が大人になっていく期間とずっぽり重なることになるんだな。



平成の30年間を続けて、ずっと新作を追い続けてきたアーティストといえば、一人しかいない。
佐野元春さんだ。

1989年、つまり平成元年にリリースされたのが、ロンドンでブリンズレー・シュウォーツやピート・トーマスらとレコーディングした“ナポレオンフィッシュと泳ぐ日” 。『約束の橋』のシングルが大ヒットしたけれど、これは今までの作品の器をぶち壊して新しい表現を切り拓いたアルバムだった。
その後の94年“Sweet16”や96年“Fruits”もよく聴いたアルバム。勢いがありつつ、表現の深みがどんどん増していった。
97年にホーボーキング・バンドを解散してからはしばらく停滞期があったものの、2004年に自らのレーベルDaisy Musicを立ち上げて以降の作品・・・04年の“The Sun”、07年“Coyote”、13年“Zooey”、15年“Blood Moon”、17年“Maniju”・・・の充実ぶりはとんでもなく素晴らしい。

えっ、佐野元春ってピークは昭和でしょ?と思う方もたくさんいらっしゃるでしょう。
でも、そうじゃないのです。
十代のときに夢中になったアーティストたちやバンドが、活動を停止したり、若さを失うにつれて輝きを失ったり、一部のファンにしか通用しない縮小再生産を繰り返したりしていく中で、佐野さんは新しい表現の荒野を切り開き続けてきた。

ありがちな話。
子供の頃に感じていたことをすっかり忘れてしまって、大人になったら言うことが違ってしまう。
上司になったら部下のときに感じていた不条理をすっかり忘れてしまう。
そんなの最悪だ。
まして「お前も大人になって苦労すればわかる。」なんてうそぶいたりするのは。
そうじゃないだろ。
そんなの最低だ。

ロックンロールに心を震わせた衝動を失わないまま、大人のロックンロールをプレイすることはできる。
少年の心を持ったまま、成熟した大人になることはできる。
若気の至りやただの反抗的ポーズやかっこつけだけのロックンロールじゃない、生きていくために必要なロックンロール。
青春時代の懐メロに成り下がらないロックンロール。

平成の30年間を通じて、佐野さんはそのことを体現し続けてきたのだ。
かつて『ガラスのジェネレーション』で、“つまらない大人になりたーくなぁーい!”とシャウトしたそのままに、つまらなくない大人になるために必要な音楽を。
僕の平成の30年間も、つまらなくない大人になるための30年だった。
クソガキのままでもない、分別ついたふりした大人でもない、つまらなくない大人。


世界は慈悲を待っている / 佐野元春 & The Coyote Band


このブログ界隈にはあまり佐野元春ファンはいないので、あんまり多くを語ってはないのだけれど、僕の理屈っぽい語り口や、ややもすれば観念的に陥りそうな言葉や人生訓めいた言葉を恥ずかしげもなく使えるセンス、それからあまり通じないユーモア(笑)、、、あたりはきっと佐野さんからの影響が大きいのだと思う。
goldenblueという名前も、そういえば元春イディオムっぽいよね(笑)、今さら自分で気づいたけど。


さらっと新年のご挨拶をするつもりが、思わず長文になってしまいました(笑)。

言いたかったことは、この言葉だけだったんですが。

Wish You a Happy New Year,
and Keep It Yourself!



今年もよろしくお願いいたします。





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コメント

[C3263]

名盤さん、こんにちはー。
青春の1ページとしての佐野元春や、日本のロックにビート感や疾走感を持ち込んだ第一人者としての佐野元春は共有できる同世代はいますが、佐野さんの「今のかっこよさ」はなかなか伝わらないですねぇ。。。
まぁ僕もほとんど新しい音楽は聴けてませんが( ̄▽ ̄;)

今年もよろしくお願いしまーす。


  • 2019-01-05 16:07
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3262]

中学2年の時だったと思う、吉田拓郎がオールナイトニッポンで、今気に入ってるアーティストと言って「ダウンタウンボーイ」をかけたのを聴いたのが最初でした。
グッときた。
それからしばらくして、烏丸せつこがサウンドストリートでかけた「ロックンロールナイト」を聴いた。
確かその次の日にアルバム『サムデイ』を買ったと思います。
今もリアリティのあるロックを聴かせてくれる佐野元春、大好きです。

今年もよろしくです!

[C3261]

非双子さん、新年おめでとーございまーす。
そう、日本語に聞こえない言葉のビート感、一音一語じゃない言葉の乗せかた、名詞や単語の羅列や体現止め。
佐野さんが革新的だったことはたくさんありますが、近作もかなりかっこいいです。

今年もよろしくお願い致します。

  • 2019-01-04 21:58
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3260]

「アンジェリーナ」は衝撃的でした。
日本語じゃないみたいでしたね~(笑

最近は聞いていませんが、元春しか出せない世界は魅力的です。
久しぶりに聞きたくなりました。
今年も覗かせて貰いますので、よろしく!
  • 2019-01-04 21:25
  • 非双子
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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