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音楽歳時記シーズン3「雨水」

2月19日、雨水。
この頃から、雪が雨に変わる、そういう由来の節季。
この言葉の意味を裏返せば、この時期までは雪が降る、ということでもある。
今年は暖かくて、雪を見たのは今朝が初めてなんだけど。

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Phoebe Snow / Phoebe Snow

スノウっていう芸名だから、ってことでもないけれど、フィービー・スノウさんの音楽は、雪の降る夜みたいだ。
音もなく、静かに、しんしんと降る雪。
雪って、積もったほうが暖かくなる気がするのは雪が少ない地方故の思い込みのせいだろうけれど、スノウさんの音楽には、そんな静けさと暖かさがある。
普段の雑然とした景色はすっかり一面銀色、雪がやんで顔をのぞかせた月の明かりだけが雪景色を照らしている。
そんな雪の降る夜に暖炉の前で心穏やかに。
そんな感じ。
もちろん家には暖炉なんてないけれど、春の暖かさのように自分を包む外側が暖かいのではなく、外は冷たいけれど心の内側は暖かい、そういう暖かさだと思う。

大昔に「これ、いいよ。」と薦められたときには、あんまりピンと来なかったのですよね。
なんだか穏やかすぎるというか、大人っぽすぎて、ひとつの理想形がすでにできあがってる感のある雰囲気がどうも馴染めなかったのだ。
ブルースっていうのはもっといびつで、リアルで、ヒリヒリするような露骨な感情表現だろ、って。

でもこの年になると、この穏やかさの良さがわかってくる。
穏やかに聴こえる表現の内側が、決して穏やかなだけではないのだ、ということ。暖かさを感じる内側が成り立つためにはどれだけ冷たい空気にさらされてきたのか、ということ。



数曲でテナー・サックスを吹いているズート・シムズをはじめ、“Harpo's Blues”で小粋なピアノを聴かせるテディ・ウィルソン、オルガンで参加のボブ・ジェームス、良いアクセントを添える効果的なパーカッションはラルフ・マクドナルドなど、バック・ミュージシャンもジャズフュージョン畑を中心に、そうそうたるメンバーで固められている。
その熟成された大人な雰囲気の演奏陣による、見守るような暖かさもまた、このレコードの味わいをより深いものにしていると思います。






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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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