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音楽歳時記シーズン3「秋分」

秋分の日。
台風も去り、気候もずいぶん落ち着いてきて、あー、やれやれ、という気分。
明日からは昼間よりも夜の方が長くなる。
気持ちも体も少し落ち着けて、矢継ぎ早に現れる課題を片っ端からこなすのではなく、じっくりと腰をすえてすすめていきたいと思わせてくれる穏やかな秋の夜。

こんなときには、音楽も穏やかで落ち着いたものがいい。
落ち着いた、というか、安定感のある音。
奇をてらわずにオーソドックスな、だけど、確固たる思いの元にプレイされた音。

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In My Soul / The Robert Cray Band

ロバート・クレイさんの演るブルースは、とても穏やかで安定感がある。
耳障りでなく、感情をかき乱さず、ゆったりとした気持ちで聴きながせる。
こういうところでこういう心地よさ、というツボを見事についてきて、とても気持ちいい。
どのアルバムも安定して心地よいのだけど、2014年のこのアルバムは特によい。ブルースというよりもソウルっぽい味わい、タイトなリズムとクリアな音色。プロデュースはスティーヴ・ジョーダン氏。

ブルースという音楽は、そもそもは虐げられた貧しい人々の憂さや満たされない気持ちをさらけ出す音楽であって、こんなふうに穏やかで心を乱さないブルースっていうのは矛盾なんじゃないのか、ブルースのスピリットを失い形式だけをなぞっただけの、いわば伝統芸能的なものに成り下がっているのではないのか、、、理屈っぽい僕はロバート・クレイの音楽をそんなふうに思っていた時期があった。
でも、聴くとやっぱり気持ちいい。
どんな気分のときに聴いてもいつでも期待通りの安定した満足感と腹持ち感があって、なおかつ胃もたれしない。
のど越しがよいのにもっちりと歯ごたえのあるギター。コシのあるリズム。
旨みがしみわたっていくような深い歌のベースにあるのは、丁寧にとられたダシの複雑な味わい。
まるでうどんですね。
旨みたっぷりのきつねうどん。

関西人なので、うどんはそもそも大好物なのです。
麺のコシとつるみも重要ですが、うどんの旨さはやはりダシの旨みです。
食べ物へのこだわりはそんなにあるほうでもないけど音楽に関してはグルメなので、単なる薄味や人工甘味料的な味付けでは物足りないんですよね。
味は薄くてもダシはしっかり効いていないと。

まぁ、そんなこんなでいよいよ秋。
うどんでも食って腹ごしらえして、心穏やかに過ごしたいですねー。






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コメント

[C3328]

ezeeさん、毎度ですー。
名古屋はやっぱりきしめんですかー。
関西だと食おうにも食えるとこがない感じやのにねぇ。

ロバート・クレイは、コシがあって、だしがきいて、食べ飽きない、まさにうどんのような偉大さですわー。

  • 2019-09-26 23:44
  • golden blue
  • URL
  • 編集

[C3327]

いいですね、ロバート・クレイ。積極的に好きです!
東京時代にうどんばっか食ってたら好奇の目でしたよ。
やっぱり関西のうどんは美味いです。次は讃岐かブットイ伊勢ですわ。
でも、今はきしめんばっか食ってます〜
  • 2019-09-26 00:26
  • ezee
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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