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東京タワーと京都タワー

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六本木でのライヴの帰り、北海道から来たエンジェルダスターさんの要望で東京タワーを見に行った。
何度も東京来てるけど、実はちゃんと近くから見たことなくって、日曜日に行ってみようかとちょうど思ってたとこだったんで合流即決。
六本木からは2kmくらいあるのかなぁ、だらだらと歩いてだべって。夜中にぞろぞろ歩くってのがいいよね。金のなかった学生の頃は、河原町で飲んだあとよく下宿まで歩いて帰った。みんなお金なかったからねー。そういうの思い出した、っていうか、こうやって歩いているとみんな学生の頃からの友達みたいな気がしてくるからおもしろいもんですよねー。

遠くから見る東京タワーもかっこいいけど、足元から見上げる東京タワーは圧巻だったね。
すごい存在感。
鉄骨のひとつひとつが、まるで血管や筋肉みたいで。
あの、飾らない、素材だけで堂々と立っている感じはねぇ、なんかうまく言えないけど勇気をもらった感じ。
俺はずっとここに立ってるぜ、困ったらいつでも来いよ、みたいな。


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さて、こちらは翌日の京都タワー。
実は私、ここでバイトしてたことあるんですよ。
下宿したての19の頃。
ビルの屋上にビアガーデンがあって、そこへ通じるエレベーターでエレベーター・ボーイをしてた。
くだらないバイトでね。おもしろくもなんともない。給料は安いし。当時時給700円くらいだったかな。
今はちょっとはまともになっているけど、当時、京都タワーっていうのは京都市民からは「えらい無粋なもの建てはりまして」と蔑まれるような昭和の遺物的な存在で、フロアーはがらんとして、たまに物産展みたいなものやってなんとか集客しているようなパラダイス的なとこだった。京都に住み始めたばかりでそんなことは知らなかったんだけどね。
まぁ、仕事はつまらないわ、退屈だわ、酔っぱらいのおっさんにからまれるわ・・・そもそも女性がやるとおっさんにからまれるから男のバイトだ、ってのは後で聞いた話。
一日に4時間とかエレベーターに乗り続けるとね、なんかエレベーター降りたあとも地面が揺れ続けるんだよ。見える景色もずっといっしょ。
くだらないなぁー、嫌だなぁと思いながら一ヶ月くらい働いたんだけど、ある日急に行くのが嫌になって。金のためだからって心が滅入るようなことしてたらあかんわ。そんなの全然ロックじゃない。
でも、辞めるという勇気もなく、それまで我慢する気も萎え、病気だとか嘘をつくのもしんどくて・・・どうしたかっていうと・・・無断欠勤。ブッチした、バックレた。電話は下宿の共同電話だから、かかってきても「おらん、ゆーてくれ」って頼んで、一週間くらい音信不通にして。
まぁー・・・無責任極まりないにも程がある。
それでも給料日には、事務所へ出向いて、「辞めます。」っていって給料だけはもらってきたんだから、根性あるよね(笑)。
今だったら、19の時の自分を呼び出してコンコンと説教してやりたいけど(笑)。

まぁそれはともかく。
ビルの上にこじんまりと立って、高さもたかだか130mくらいの京都タワー。
地元では無粋と言われ、遺物と言われ、灯台をイメージしているのに蝋燭と言われ、あの堂々とした東京タワーの存在感とは似ても似つかず比べものにもならない。
でもね、なんとなく最近、そういう京都タワーだからこそ愛しく感じる気もしてきて。
ちやほやされず、地元から愛されず、観光客にはがっかりされ、時に蔑まれ、それでも彼もまた50年以上、あの場所に立ち続けてきたんだってこと。
いいじゃないか、それでって思うんですよね。
それはそれでひとつの勲章なんじゃないかって。
京都タワーの気持ちを聞いたことはないけど、彼は彼で、そういう自分を誇らしく思っているのかもしれない。たくさんの観光客との小さな思い出をいっぱい抱えているのかもしれない。
こんな私でもずっとここにいさせてもらえて、ささやかながら小さな幸せを感じてきたんですよ。他のタワーと比べてうらやましいとかどうして自分は・・・と思ったこともあったけど、比べても仕方のないこと。私は私なりにずっと立ってきたんです、って。
いや、勝手な妄想ですがー(笑)。

自分の大きさを知ること。
むやみに比べて悲観しないこと。
みんな自分の人生があって、きっとそのまんまでいい。
それでいい。むしろ、それがいい。それだからこそいい。
新幹線から降りて、京都タワーをぼおっと眺めながら、ちょっとそんなことを思ったのでした。



Late For The Sky / Jackson Browne






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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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