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◇台風の夜のカラスと「ライ麦畑」

先日の台風の夜のこと。
9時くらいまではなんてことなくって「台風来る来る詐欺か?」って思ってたら10時くらいから吹いた風のすごいのなんのって。
ベランダの向こうに見える大きな木が今にも折れそうにしなっていて。
ふとカラスのことが心配になって「こんな夜にカラスたちはどこで眠るんだろう。」ってFacebookで呟いたんだけど。
うちの近所には宮内庁管轄の大きな森があって、そこが近所のカラスたちのねぐら。
この季節だとまだ巣立ちして間もない若いカラスたちがたくさんいて、かなりパニックになって騒ぎまくってるんじゃないかと。

で、しばらくして、この呟き、どっかで聞いたことあるかも、って思った。
出所はこれだった。

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それから、急に思いついたことがあってね。「ねえ、君」と、運転手に声をかけたんだ。「《セントラル・パーク・サウス》のすぐ近くにあるあの池にアヒルがいるだろう? あの小さな湖さ。つかぬことをきくけど、もしかしたら君、あいつらが、あのアヒルがさ、池がみんな凍っちまったとき、どこへ行くか知らないかな?へんなことをきくようだけど、知らないかな?」
言いながら僕は、知ってる可能性は百万分の一しかないと思ったね。
運転手は後ろを振り向くと、気違いでもみるような顔をして僕を見やがった。
「どんなつもりでそんなことをきくんかね、あんた」と、彼は言った。
「おれをからかうつもりか?」
「とんでもない――興味があったからさ、それだけだよ」
彼はそれ以上なんとも言わなかった。それで僕も黙っていた。
(J.D・サリンジャー 『ライ麦畑でつかまえて』 野崎孝訳より)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

うーん。50過ぎてサリンジャーか(笑)。
若い頃にはまったものっていうのは、こういうときにふと無意識で出てくるものなんだな。

Facebookには友人たちが10ばかり「いいね」をつけてくれたので、僕はホールデン君のようにうちひしがれてしまうことはなかったけど。
こういう感じをすんなり共感してもらえるかどうかが、友達になれる人となれない人の差なのかもしれない・・・ってふと思った。

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◇サリンジャーに関しては、10年くらい前に書いたけっこうお気に入りの記事がありました。

http://goldenblue67.blog106.fc2.com/blog-entry-165.html


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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