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♪一人でいることと孤独とは少し違う

Robbie Robertson  The Dream of the Blue Turtles  King of America

Dave Stewart & Spiritual Cowboys  Nothing But the Truth


このところ聴いていたアルバムたち。
たまたまだけれど、全部モノクロームでピンのポートレイトのアルバム・ジャケットだ。
共通点は「ソロ・アルバム」であること。
それぞれに属していた有名なバンドで見せていた顔とは少し違う顔を見せてくれているところ。
そこには、「ソロ」だからこその、自分の表現したい音楽を思う存分プレイしている清々しさ、何であれ自分の歌を自分で歌うことへの潔さがあって素敵だ。

一人でいることと孤独とは、似ているようで少し違う。

通勤中の電車の中や、帰りの駅のホームで知り合いにたまたま出会ったりするのが苦手だ。
無視するわけにもいかないし、かといってとりあえずで取り繕ってその場だけのどうでもいいような会話をするのもとてもしんどいし、相手もそう感じていそうならそのしんどさは倍増するし、後になっても何となく虚しい。
では、気の会う奴ならいいのか、というと、確かに先の気まずさはないし、それなりに話も盛り上がって楽しい気分にもなる。だが、駅を降りた後、一人になる時間がないままに家に帰り着いてしまうと、なんだかぎこちない感じがしてしまうのだ。何故だか。
そして、そんなとき、一人でいる時間の大切さを感じるのだ。

会社での自分、家庭での自分、それはそれぞれに良くも悪くも何らかの「役割」を担っていて、それを正しく遂行することを求められている。
それはそれで構わないのだけれど、何の役割も担わない自分自身に戻る時間はとても大切なことなのだ。求められている「役割」を正しく遂行するためにも。
自分が何の役割も求められていないのではないかと感じること、それが孤独。
あえて一人でいる時間を大切にすることと、孤独であることは、やはり似ているようで違うのだ。



Robbie Robertson/Robbie Robertson
静寂の中から浮かび上がってくるような“Fallen Angel”で始まる、ロビー・ロバートソンがザ・バンド解散以来8年ぶりに姿を現したソロ・アルバム。ザ・バンドで担っていた役割をこれから先もずっと求められるのを避けるために、きっと長い長い空白の時間が必要だったのだろう。
マヌ・カッチェの生み出す浮遊感のあるグルーヴと、遠くから響いてくるようなロバートソンの歌は、まるで今夜の月のように特別な空間へ連れて行ってくれる。

The Dream of the Blue Turtles/Sting
「Synchronicity」で頂を極めたポリスから離れたスティングが接近したのは、ダリル・ジョーンズやオマー・ハキム、そしてブランフォード・マルサリスといった新世代のジャズメンたち。
新しい力を借りて自分の中で眠っている別の何かに形を与えようとしたのだろう、洗練された世界を紡ぎ出している。

King of America/Elvis Costello
コステロさんは時代ごとに作品ごとにいろんな姿を見せてきた人だけれど、アトラクションズと離れ「コステロ・ショウ」名義で発表されたこの作品だけは、とてもプライヴェートな感じがする。素焼きの手触りがするような歌だ。“Indoor Fireworks”、“I'll Wear It Proudly”“Jack of All Parades”…泣き笑いのようななんともいえない哀愁を漂わせた歌が落ち葉のようにハラハラと舞う。

Dave Stewart & Spiritual Cowboys/Dave Stewart & Spiritual Cowboys
ソロ・プロジェクトでは、ディランのような皮肉っぽい歌をルー・リードやデビッド・ボウイーのような声で歌うデイヴ・スチュワート。その歌の景色は、ユーリズミックスのカラフルさの内側に潜んでいたモノクロームの景色。

Nothing But the Truth/Ruben Blades
ルベン・ブラデスは、パナマ出身のサルサ歌手。
この作品は88年に発表された、全編英語ということで話題になったアルバムで、エルヴィス・コステロやスティングやルー・リードが曲作りから参加。しかめっ面じゃなく飄々とした顔つきで、パナマやラテンアメリカのシビアな現実が綴られてゆく。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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