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♪カレンダーの中の景色

いくらでも眠っていたい週末。
曇り空でしかも気温も下がり気味なら、いつまでたっても眠気が取れないのも仕方ない。
先週はたくさん働いた。出張で出ずっぱりになってしまった分、日常業務がわんさか残ってしまったのだがこれもまぁ仕方のないことだ。その分、出張先では素晴らしい景色にめぐり合えたのだから。
訪れたのは、岩手県の三陸海岸沿いの僻地の村。花巻空港からはバスで3時間以上かかる山越え谷越えの道のりで、これがなかなかにたいへん。大阪から花巻までは飛行機で一時間半なのに…という矛盾や、なるほど都会では「無駄な高速道路なんて要らない」と簡単に言い切れるけど道路が整備されていない地方では現実的な問題なのだなぁ、などと感じたりしながら、果てしなく続くワインディング・ロードをバスに揺られながらうとうとしていたのだった。
バスがドライブ・インで休憩のために停まる。バスを降りた僕の前に姿を現したのは、鏡のような美しい湖だった。湖の向こうの山は既に紅葉し、その紅葉が湖面に映えている。湖の手前には白樺が林立している。それはとても美しい光景だった。まるでヨーロッパの、それもずいぶん北の方の国に迷い込んだような、陳腐な例えだけれど、カレンダーの中の景色の迷い込んだような、そんな感じがした。

LAKE


美しい景色を見るためにわざわざ遠くへ出かけたものの天候やらロケーションやらの関係で結局目当ての光景には出会えないままということもあれば、予期せぬ形でとても美しい光景に出会えることもある。
ほんの短い北の国の紅葉の時期、しかもよく晴れた青空の下で、たまたま通りかかることができた幸運。
そんな感慨に耽りながら、再びバスに乗り込み、道路沿いに続いていく鏡のような美しい湖面を見ながらふと聴きたくなったのは、ダイアー・ストレイツの“Romio & Juliet ”。
マーク・ノップラーの爪弾く繊細なギターで始まる美しい歌。
ぼそぼそと呟くように歌われるロミオとジュリエットの物語。
Eストリート・バンドからゲスト参加したロイ・ビタンのピアノが、ドラマチックな隠し味を添えている。
ギターやピアノからこぼれでる美しい音のひとつひとつが、湖面にキラキラと光っては飛び去ってゆく。

ダイアー・ストレイツの音楽には、過ぎ去っていく光景がよく似合うのだ。
通り過ぎていく美しさ、目を閉じれば今も広がる、すぐに消え去ってしまう儚いまぼろしのような、けれど確かにそこにあった景色や情景。
物事は過ぎ去っていく。それを過度にセンチメンタルにならず、しみじみと淡々とありのままに受け止めていくような潔さ。言葉にすればとても陳腐になってしまいそうな思いをあえて言葉にせずにいるような。
そんな想いが満ちているからなのだろうか、彼らの紡ぎだす音楽は切なくて美しいのは。

中でも大好きなのが“Romio&Juliet”が収録されている『MakingMovies 』というアルバム。
そういえばこのCDも、中古屋で安く売りさばかれていたのをたまたま見つけたのだったなぁ。

Making Movies

Making Movies/Dire Straits

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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