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音楽と人

僕たちはなぜ音楽を聴くのだろう。
言い方を変えよう。
僕たちは音楽を聴くことで、何を受け取っているのだろう。

素敵なメロディー。それはとても気分が弾む。
いかしたギターのフレーズ。いいね、それも。
ちょっと心に引っ掛かった言葉。それは確かに何かの力になることもある。
ズンズンと体ごと響くビート。そうだね、体揺らして踊りたくなる。気持ちを解放したくなる。
でも、そこまでだったら、別に、誰のどんな音楽だって構わないはず。
でも、この人のこの歌が聴きたい、この人たちのこの演奏が聴きたい、ってことがあるじゃない?どうしてもこの人の歌じゃなきゃ、心に届かないってことが。
ある歌が心に届くときっていうのは、いわゆる感動をしているわけだけど、感動、まぁ共感っていったほうがいいか、それは決して美しかったり楽しかったりだけじゃない。どろどろでへヴィーな気分のときにはどろどろでへヴィーな音楽、悔しくて悔しくてたまらないときには怒りにあふれた音楽、孤独や疎外感を感じたときにはどうしようもなく暗い音楽、それも含めての共感だ。
その共感、共鳴できる感情というのは、楽譜の中にはない。演奏された音や歌われた歌の中にある。すごくハッピーな歌詞のポップな曲でさえ、歌った人の気持ちが悲しければそれは悲しい歌として響くわけで、つまりは楽曲そのものよりも歌や演奏に込められた感情が響くんだよね。
最初の設問に答えるならば、音楽を聴くときに受け取っているものは、気持ちなんだろうと思う。
作品そのものに込められた気持ち、演奏に込められた気持ち。心地よいものも不快なものも含めての気持ち。

その気持ち、感情を露にしているのは人。作者の、演奏者の、感じたことが音楽として形になるわけで。
そう考えると、音楽はやっぱり「人」なんだと思う。あえて「人柄」と言ってもいい。
その人がその場で歌うからこそ感じる何か。その人だからこそ感じさせてくれる何か。
それがないんだったら、ヴォーカロイドの無味乾燥した歌でも聴いてりゃいいんだ。
上手けりゃいいってもんでももちろんないしさ。その人が歌うからこそ感じられる何かさえあれば、心は動くんだ。
まして生演奏ならばなおさら。

「人柄」って言葉を使ったけれど、それはイコール“いい人”という意味ではない。優れた人や人格者っていう意味ではない。
だってそうだろ、ミック・ジャガーや清志郎が聖人君子や素晴らしき人格者なわけないじゃん。いいかげんで自分勝手でわがままなどうしようもない奴に決まってる。ミックや清志郎の例えが不適切ならジョン・ライドンでもジョニー・サンダースでもいいけど、そんなどうしようもない彼らの歌に、ギターに、僕たちは心揺すぶられるわけで。
むしろそんな人たちが、それでもどうしようもなく吐きだしたり紡ぎあげたりする音だからこそ共感するんじゃないのか。
だって、僕たちだって同じようにどうしようもないんだもの。だいたい、40や50になっても未だにロックが好きなんて奴が、まともで健全で聖人君子のごとき人格者なわけがないじゃないか(笑)。みんなどっか壊れてたり、なんとかバランスとってやりくりしてる。
だから、僻んだり妬んだり嫉妬したりは朝飯前で、いざとなったらキレてテーブルひっくり返してけなしまくって皮肉と捨て台詞を吐き捨ててそっぽ向いて振り向きもしない、それでいいんだと思う。ものわかりのいいお利口さんの演る音楽ならば、誰もわざわざライヴになんて足を運ばない、家で飯食って昼寝でもしてたほうがましだ。そうじゃないからさ、わざわざ出向くんだ。時間作って金払ってでも感じたい何かがそこにあるから。
それを作っているのは人、音楽と人はひとつのもの。だから音楽は人なんだと僕は思う。




だから、人柄ということに否定的にならなくったっていいんじゃないか。
でも、敢えて否定して、次へ行くっていうのもアリ。違和感を感じたらまずはNOと言ってみるのが一番。
ストラグリンとサヴァイヴァルのその先でたどり着く場所には、とても興味があります。


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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