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♪ゴールデンウィーク対談:監獄ミュージック

golden(以下g):「ゴールデンウィークといえば、大掃除の季節ですねー。」
blue(以下b):「そうなんか?」
g:「普通、大掃除といえば年末ですが、あの時期はいろいろ忙しくて。それに寒くて動くのめんどくさいでしょ。厚着では動きにくいし、窓開けても寒いし。」
b:「雑巾絞るのにわざわざお湯沸かしたりな。」
g:「この時期なら休みもとれるし、冬物片付けるのと一石二鳥なわけさ。」
b:「わりと一理あるな。俺は年末にするのが好きやけどな。」
g:「で、大掃除ついでのお題なんだけど。」
b:「はぁ。」
g:「部屋にCDいっぱいあるじゃない。」
b:「そんなでもないやろ。1000枚くらいちゃう。」
g:「いや、それはじゅうぶん多いよ(笑)。」
b:「そういうもんか?まぁ、この先一生聴かんのもありそうやけど(笑)。」
g:「実際に処分するわけではないけどさ、もしこの中から5枚しか手元に残せないとしたら何を選ぶ?ってのを語り合うってのはいかがかと。」
b:「いわゆる、よくある『無人島CD』の類いやな。」
g:「まぁ、いわゆるよくある(笑)。」
b:「俺、無人島行かへんし(笑)。そもそも無人島で音楽聴かれへんよ。」
g:「だから、無人島じゃなくって、究極の断捨離をするとしたら、みたいな想定で。」
b:「それやったらむしろ、『独房に入れられて何年も過ごさないといけないときに、5枚だけCDの差し入れが許されるとしたら何を持ってきてもらう?』の方がええんちゃう?」
g:「なんか、それ妙にリアル(笑)。まぁなんでもいいんですけど。」
b:「無人島より可能性あるやろ(笑)。」
g:「ポイントは、『好きな5枚』とか『生き方に影響を受けた5枚』とかのニュアンスじゃなくって、日常生活の中でいつも聴けて長く聴き続けられるとかね、気分を変えたいときにはなくてはならないとかね、そーゆー感じ。」
b:「『i-podから消せない5枚』、みたいな?」
g:「まぁ近いけど。」
b:「とりあえず真っ先に思い付くのはあれやな。」
g:「あれってどれ?」
b:「黄色いレコード。」
g:「ピストルズ?」
b:「そう。セックス・ピストルズ“Never Mind The Bollocks”。あれは最強やで。何かイラッとするときとか、ぶっ飛ばしたい気分のときとか、あれを爆音で聴くだけでスカッとするでー。」
g:「一発で気分変えられるっていうのは音楽の魅力だからね。」
b:「これはまじマストやで。」
g:「僕も一発で気分が変わるやつを。ピストルズとは真逆だけど、ロイ・オービソン“The Very Best Of Roy Orbison”。」
b:「甘っ!」
g:「これ聴くと、なんていうか、スイートでセンチメンタルな気分になれるのですよね。」
b:「まぁ、この時代のロックンロールは粋っていうか、雰囲気ええわな。」
g:「エルヴィスとかサム・クックもいいんだけど、ロイ・オービソンが最強かと。」
b:「最強かつ鉄板のマスト・アイテムといえば、フェイセズやな。」
g:「70年代ブリティッシュ・ロックのど真ん中。」
b:「どのアルバムもいいんやけど、解散直前のシングルまで入ったベスト盤が一番へヴィーローテーションかな。2枚め、フェイセズのベスト盤“Snakes and Ladders”で。」
g:「とりあえずめっちゃ元気になる感じだもんね。」
b:「この系統のロックンロール・ミュージックといえばまずはストーンズなんやけどな。でも、ストーンズよりも朗らかでユーモアがある感じが好きやねんな。」
g:「僕も2枚目は王道で。ポール・サイモン。S&G解散から“Graceland”の時代までのベスト盤、ポール・サイモン“Born At The Right Time”を。」
b:「やわいの好きやなぁ。。。」
g:「いや、ポール・サイモンはけっこう硬派よ。シニカルだけどユーモアもあるし、リズムがかっこいいよね。」
b:「レゲエ演ったり、ニュー・オリンズに行ったり、南アフリカに行ったり。」
g:「新しいリズムを貪欲に取り入れていくという点ではストーンズと共に時代を作った人ですから。っていうか、聴いてて単純に気持ちいいのですよ。」
b:「リズムといえば、レゲエを一枚入れておきたいね。監獄で躍りたくなったときのために。」
g:「いいね。」
b:「ジミー・クリフ“Follow My Mind”。」
g:「あ、それ僕も候補に入れてた(笑)。」
b:「70年代後半のジミー・クリフは、すっごくソウルっぽさもあるし、おおらかで、ゆるいのがええねん。」
g:「でもレゲエが本来持つレベル・ミュージックとしてのファイティング・スピリットもビシバシ感じますよね。」
b:「なんていうかな、元気出るよな。」
g:「僕の3枚めは、これもベスト盤で申し訳ないんだけど、ザ・フー“The Very Best Of The Who”。」
b:「あ、それ、俺の候補・・・。」
g:「やっぱり被った?」
b:「ビートルズちゃうんや?」
g:「ビートルズももちろん捨てがたいんだけど、ビートルズのベストはわりとすぐに飽きそうで。」
b:「ビートルズ・ファンに怒られるで(笑)。」
g:「初期のロックンロールのアルバムだと尺短いじゃん。でもベスト盤はいらない曲も多っくって。」
b:「わかるけどー。」
g:「フーはね、飽きないのよ。ドラムだけ聴いてても楽しめるし、ベースだけ聴いててもかっこいいし。」
b:「なるほどなぁ。」
g:「さて、あと二枚。」
b:「パンクとブルースの俺としては、ブルースのアルバムを入れないわけにはいかんわな。」
g:「監獄といえばブルースですか。」
b:「大好きなのはいっぱいあるけど、アルバムとしてバランスが良くて、バラエティーもあって聴き飽きないという点でいえば、ジミー・ロジャース“Chicago Bound”やな。」
g:「あえてマディやロバート・ジョンソンではなく?」
b:「そう、ハウリンウルフでもジミー・リードでもなく。」
g:「歌もギターもかっこいいよね。」
b:「なんちゅーんかねぇ、職人の矜持的なね。黙々と裏方に徹しつつ、実はけっこう熱い。」
g:「ポップだしね。」
b:「あんまりどろどろ過ぎると救いようがなくなるやろ。監獄やと。」
g:「救われる、癒される感じというところで、僕の4枚めはオールド・ジャズ。レスター・ヤング&テディ・ウィルソン・カルテット“Pres and Teddy”。」
b:「懐かしくてゆるーい感じがいいね。」
g:「なんかね、歌ものがうるさく感じる気分のときがあるような気がして。」
b:「あぁ、なるほど。」
g:「穏やかに、メロディーとリズムに身を委ねる心地よさ、みたいなね。ピアノやサックスの音もすごくあたたかいし。」
b:「一人で浸れる心地よさね。」
g:「そうそう。」
b:「最後の5枚めはそういうのにしておこうかな。70年代のトム・ウェイツのベスト盤、“Used Songs 1973-1980”。」
g:「渋い。」
b:「監獄暮らしで孤独をかみしめるときに、孤独な自分と向き合える強さみたいなのが、トム・ウェイツにはある気がすんねんな。」
g:「深い響きがあるよね。」
b:「罪を受け入れて赦してくれそうな、そんな深さっていうか優しさっていうか。そういうのが沁みるなぁ。」
g:「さて、ラストの1枚。やっぱり5枚に絞るのって難しいねー。」
b:「言い出したの、おまえのほうやん(笑)。」
g:「ここまで選んだのを見てみるとね、80年代ものが入ってないね。」
b:「まぁ、やっぱり70年代はロックの黄金時代やし、絞りこんだベーシックなものとなると50年代60年代になってくるか。」
g:「あと、女性も入ってないな。」
b:「あぁ、そうやなぁー。たまには聴きたくなるかも、女の人の声。」
g:「アコースティックで和めるのがいいね。80年代で、女声ヴォーカルで、ちょっと落ち着いたアコースティックなレコードといえば、僕ならフェアグラウンド・アトラクション“The First Of A Million Kisses”だね。」
b:「“Perfect”、好きやったわ。」
g:「エディ・リーダーの大人っぽいのにちょっとこじらせてる感じがいいよね。」
b:「ほっこりするし、ちょっと切ないし。」
g:「アコギやウッド・ベースの音もすごく体温があるしね。」
b:「独房で荒んだ心が癒されるかもなぁ。」
g:「これで5枚ずつ。」
b:「うーむ、このセレクトで良かったんやろか。ソウルやR&Bのオムニバスがあってもよかったかな。」
g:「まぁ、迷いだしたらキリがないよね。」
b:「爆音ロックンロールはピストルズを選んだので外れたんだけど、ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズの“L.A.M.F”も入れときたかったなぁ。あとパティ・スミスにテレヴィジョン。」
g:「そりゃ、リトルフィートやJガイルズ・バンドあたりもあるといいんだけど。それからニール・ヤングとトム・ペティとボニー・レイット。」
b:「もちろんストーンズもビートルズもやな。」
g:「リッキー・リー・ジョーンズも持って行きたいなぁ。」
b:「コステロかニック・ロウ、80年代ならアズテック・カメラかポーグスやな。」
g:「もうちょっとあとの時代だと、マシュー・スイートとスザンナ・ホフスの“Under The Cover”シリーズとかね。」
b:「あれは名曲がいっぱい入っててお得感あるな。」
g:「でもさ、意外と一番使えるのは、ヒット曲満載の、ボズ・スキャッグス“Hits”とかフリートウッド・マックの“Greatest Hits”とかだったりしてね。」
b:「気分は盛り上がりそうやけどな。」
g:「日本人は入れてなくてよかったの?」
b:「RCは本来マストやけど。」
g:「ただ、歌詞が直接頭に入りすぎるのは監獄という環境では不向きかもしれません。」
b:「必要以上に気持ちが乱され過ぎる。」
g:「音として聴き込むのならやっぱりアメリカ・イギリスになっちゃうね。」
b:「いざとなったら歌えばいいしな(笑)。」
g:「ずいぶん前に書いた『私を構成する9枚』とはだいぶ違うラインナップになったね。」
b:「まぁ、今回のは、日常的にずっと聴けるっていうのがコンセプトやからな。」
g:「二人であわせて10枚。これで孤独な監獄暮らしがだいぶましになりそうな気がするね。」
b:「とりあえずな。」
g:「でも、実際問題さ、監獄にCDって差し入れしてもらえるのかな?」
b:「知らん。たぶん無理ちゃうかー(笑)。」


●goldenくんの5枚
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Roy Orbison “ The Very Best Of Roy Orbison”
Paul Simon “Born At The Right Time”
The Who “ The Very Best Of The Who”
Lester Young & Teddy Wilson Quartet “Pres and Teddy”
Fairground Attraction “The First Of A Million Kisses”

●blueくんの5枚
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rogers_jimm_chicagobo_101b.jpg thYCZ6PQW2.jpg

Sex Pistols “Never Mind The Bollocks”
The Faces “Snakes and Ladders”
Jimmy Cliff “Follow My Mind”
Jimmy Rogers “Chicago Bound”
Tom Waits “Used Songs”


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コメント

[C3196]

波野井さん、こんにちはー。
この手のセレクトは、好きなものだけ選ぼうとしても不可能です(笑)。
選ぶコツとしては、いろんな気分にあわせて選ぶ感じでしょうか。UPなとき、DOWNなとき、楽しいとき、ムカついたとき・・野球チームで足の速い人や守備のうまい人、ホームラン打てる人なんかを選んでオーダーを組むみたいに。
それでも「二人分」に分けないと絞れませんでしたがー。
  • 2018-05-01 07:58
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3195]

どーもー。
ご無沙汰してしまいました(^^;)。
また、マニアックなことしてますねえ(^^)!

自分だったら、ラモーンズ?
ハノイ(笑)?Tレックス?
オーティス?コルトレーン?
やっぱりマディ?
フェイシズとフーもいいですよねえ。
となるとストーンズも?
意外なところで(?)ガンズの1stとか?
ZEPは?

ああ、選べません(TT)。
  • 2018-04-30 23:50
  • 波野井露楠
  • URL
  • 編集

[C3194]

BachBachさん、こんにちはー。
選んでいくと結局大御所のベスト盤ばっかりが並ぶようなセレクトになってしまいましたが、いつ聴いてもいいと思えるものばかりです。
フーはいつ聴いてもぶっ飛ぶし、レスター・ヤングは安らぐし、ロイ・オービソンは甘い気持ちになれます。フェアグラウンド・アトラクションはヴォーカルもギターも気持ちいいですよね。
ジミー・ロジャースは言ってみれば特徴の薄い普通のブルースですが、その普通さがいい感じなのです。
  • 2018-04-30 08:03
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C3193] おお~

けっこう被ってるとこありました(^^)。フー、レスターヤング、ロイ・オービンソンはいいですよね。そして、フェアグランド・アトラクションは僕もものすごく好きです、いつ聞いても気持ちいい!
ジミー・ロジャースは持ってるけど記憶があいまい、今度聴いてみようかな。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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