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『徒然なるままに春を詠む 』

ブロ友のサーシャさんが、めっちゃ楽しいことしてた。
「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」のサーシャさん版なんですが、これがめちゃくちゃおもしろくって。

徒然なるままに春を詠む

こういう楽しいことは、自分もやってみたくなる。楽しいことはひとり占めしちゃいけない。楽しいことはみんなでやればもっと楽しくなる。

というわけで、「もしもあの人が春を書いたら…きっとこんな感じ」goldenblue版、行ってみましょー。

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「春が待ち遠しいね。」って、冬が長くなってくるとみんなそう言うんだよ。
「こんにちは、春が待ち遠しいですね。」「そうですね、今年はよく冷えますね。」、それで春が来たら来たで「春ですね。」「春になりましたね。」って同じように800万回だって言い合うんだ。そういうのって僕にはなんだかとってもむず痒くなるようなことなんだよな。
でも、だからって春が嫌いなわけじゃない。逆立ちして誓ってもいいくらいだ。
春になるとあっちこっちで花が咲くだろ。あれを見るのが好きなんだ。赤やオレンジやピンクや紫や黄色の。あの花たちが咲いているのを見ると、どういうわけかすべてを赦してやってもいいような気持ちになるんだな。あのストラドレイターみたいなくだらないやつだって。

           (サリンジャー /野崎孝訳テイスト)

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春は物静かにやってきて
しずしずとおじぎをする
今年はたいへん遅くなりましたけど
ようやく訪れることができました
水色のふろしきから
緑の束をひとつかみ
さっと宙に放り投げれば
景色はみずみずしさを取り戻し
空では雲雀が歌い出す

           (谷川俊太郎テイスト)

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季節なんてものは、こちらが気にかけようと気にかけまいと、勝手に巡ってくるものなのだ。
あたふたとしているうちに春になり、どんどん暑くなったかと思ったらいつの間にか涼しくなり、また寒くなる。その繰り返しにいちいち風情を感じているほどヒマじゃない。あたしは忙しいのだ。
それでも春はいいわね。確かにテンションがあがるもの。冬のどんよりした暗い空なんてとてもじゃないけど見てらんない。なんか萎えちゃうのよね。こっちまで暗い気分になっちゃう。
「生き物は皆、春は好きなはずだよ。ほとんどの動物の発情期は春だから。」
と連れ合いがいう。
あはは、それじゃあたしは動物か。まぁ、それも悪くないわね。好きな男になら、一年中発情していてもかまわないもの。

           (佐野洋子テイスト)

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春はライム・グリーンだ。
少し蛍光色がかった鮮やかなきみどりいろ。
色のない世界だった冬に、さっとカーテンを開けたみたいに明るい光が差し込んでくる。
明るいということはそれだけで幸福だと思う。
むやみやたらとした明るさではなく、さりげない微笑みのような明るさ。
それに、あたたかいということ。
そしてなによりもしゃきしゃきの野菜がおいしくなるのがいい。
レタスやらキャベツやら、春になると私は生野菜をむしゃむしゃと食べる。ミニトマトやゆでたまごを飾ったり、気分によってお気に入りのドレッシングを使い分けるのも好きだけれど、ただちぎっただけの生の葉っぱをそのままむしゃむしゃ食べるのも好きだ。
きっと私は昔、あおむしだったことがあるのだと思う。
蝶になれたのかどうかは記憶がない。

          (江國香織テイスト)

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春はやつてきた
息はずませて
足音響かせて
春のパレエドは
スプリング
跳び跳ねる
びよんびよん
光の天使たちが
七色の
虹の弓をひいて矢を放つ
あゝ俺の魂はまだ
凍りついてはゐなかつたのだ

           (中原中也テイスト)

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その日はのっぴきならない用事があって早朝より出かける算段になっていた。前夜には支度を済ませ目覚まし時計を起床予定時刻に合わせ万端の準備で床についたのである。蒲団の中は程よい居心地で先週からずっと多忙続きで程ほどに疲れも溜まっていたのであろう、我輩は三秒で爆睡した。
さて、ここはどこであろうか。物々しさなど欠片もない安穏とした空気に包まれた場所に我輩はいた。ピンクの絨毯を敷き詰めたような花畑、桃とも苺ともつかぬ甘い香り。池には蓮の花が咲き乱れ、途方もなくよい匂いが漂っている。香りにつられて一口含んでみると酒である。おぉ、これはうまい。もう一杯、あぁ、極楽だ。もう一杯、いや手で掬うのでは埒がいかぬ。盃はないか、コップでもいい。こらうまいわ。なんぼでもいけるやないか。美しい羽衣を身に纏った天女のような女が近づいてきて、いけるくちやおへんか、おひとつどうぞ。おお、苦しゅうないぞ、近う寄れ。あら、あなた様、何をなさいまする、いけませぬ。よいではないかよいではないか。いけませぬ、私には夫と子供が。何を申すか、構いはせぬ。
そのときであった。ジリジリジリと何やら不愉快な音。しかもどんどんと加速してゆく。これは何事だ、今からがエエとこやないか、どこぞのアホやねん、けたたましい。はようその音止めさらせ、と叫ぶと音はすっぱりと止んだ。
静寂が訪れた。が、天女の姿も消えた。ふと我に帰ると手元には目覚まし時計。完全に遅刻である。
慌てふためいた我輩は、ズボンの股に二本とも足を入れて転びそうになり、歯ブラシを鼻につっこみ、昨夜準備した鞄をひっくり返してぶちまけ、駅までの道のりを走ろうとして二十米ばかり走ったところで足が吊った。それでも健気に走ろうとしたところ路傍の石につまずいてスッ転んで鼻血が出た。痛む鼻を押さえながらほうほうの体で駅に着いたら財布を忘れた。
我輩は思い立って先方に連絡を入れ、丁重に詫びを入れ、家に帰って屁をこいて眠った。
春眠暁を覚えず。

           (町田康テイスト)

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春という言葉の語源はなんだと思いますか?
「貼る」?違います。
「晴れる」?あぁ、惜しいですね。
そう、正解は「張る」なんですね。花のつぼみが膨らんで張ってくるところから「張る」、つまり「春」なんです。だんだんと膨らんで、生命力が満ちてくる。そういう様子を表していると言われています。
英語ではスプリングといいますね。
これは「バネ」のスプリングではありません。スプリングにはバネ以外にも、「泉」という意味があるんですね。温泉のことをホットスプリングとか言いますね。あのスプリングです。
泉は水が涌き出るところ。そこから「物事の源泉、始まり」と意味が転じて、季節の最初、一年の始まりということでスプリングとなったようです。

           (池上彰テイスト)

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sketch-1519448390335.png

           (西原理恵子テイスト)




なかなかあほなことしてますねー(笑)。
才能の無駄遣い(笑)。

人間の体が食べたものでできているとすれば、人間の精神は見聞きしたものや読んだものでできている。
物心ついてからいろんな本をたくさん読んできたけど、共感したり感動したりしたものっていうのはそのまま自分の精神のパーツになっているんだろうね。
この人ならこんなことをこんな風に書きそうだよな、と想像しながら書きつつも、結局のところ自分が感じていることの一部分をデフォルメして書いたのであって、書かれたものはやっぱり自分が感じたこと。町田康的な部分も江國香織的な部分も池上彰的な部分も西原理恵子的な部分もぜんぶ自分の一部分ってことなんだろうなぁ。
おもしろいものですよね。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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