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続・音楽歳時記「大寒」

1月20日が大寒。
昼間はあったかかったけど、夜は冷えるね。っていうか、凍えると言った方がいいのかもしれない。

冬はあんまり好きではないけれど、星がきれいなのは冬のいいところ。
空気が澄んでチーンと静まり返った夜。
南西から北東にかけてうっすら流れるうろこ雲。
南東の空に白く輝くのがシリウス、その少し南にオリオン座のリゲル。お月様が明るくてプロキオンやベテルギウスはちょっと見えないけれど、もう少し月が西へ動けば見えるのかな。
冬の大三角の少し先にはふたご座のカストルとポルックス、天中にはぎょしゃ座のカペラ、南にはおうし座のアルデバラン。小学校のときに習った。
はるか昔から、人は星の位置に何かしらの意味を読み取って、物語を紡いできたんだよな。

adventure.jpg
Adventure / Television

テレヴィジョンの音楽には、どこか冬の星空を見上げているときに感じる気分と同じような感じがする。
匂いっていうか、佇まいが冬空っぽい。
冷たく張り詰めた空気と闇。
遠く手が届かないその闇の中にかすかに、けれどはっきりと灯る光。
絶望の中のかすかな希望、なんて例えてしまうととても陳腐だし、そこまで深い絶望感や心の闇を抱えているわけではないけれど、冬の夜空の闇と灯りは、昼間の明るい空よりもよほど意識的で自覚的で、どこか意味ありげで何かを指し示してくれているような気がしてくる。

遥か昔の人たちは、星空を見上げながら、そこにある星の並びに意味を受け取り、物語を当てはめた。
見上げると、自分が今まで出会ってきた、人や音楽や物語たちも、そこに連なって星座を形作っているような気がしてくる。
ひとつひとつの星が、なんらかの意味を持って、僕を今いる場所に導いたのかもしれない。

真冬の凍えるような夜には、そんな感傷もたまにはいいだろう。






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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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