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♪秋空にぽっかりと穴の開いたようななんだかなぁ感を引きずりながら

秋の大型連休。いつの間にか「シルバーウィーク」と名づけられていたらしい。
電車はガラガラの休日気分の中、いつものようにいそいそと仕事に出かけた。
週末のテレビは、民主党新政権のことと酒井法子の謝罪会見で大騒ぎしていたけれど、マスコミががやがやと騒ぎ立てるほどに世間は盛り上がってはいなくて、テレビに映し出される賑わいをむしろとても醒めた目で見ていたような気がする。
選挙の時に広げられる大風呂敷なんて誰も実現可能だなんて思ってはいない。政権交代とは、つまりは、この国は本当に行き詰まるところまで行き詰っていて、少なくとも誰の目から見ても明らかに終わってしまって世間からずれまくった醜態を晒している前与党に投票するほど愚かにはなりたくなかったということだと思う。
アイドル歌手のことだって別に私生活まで清純だなんて思ってもいないし、今回のことだって誰も特に心底驚いたわけじゃない。騒いでいるのは、この事件にまだ価値が思い込んでいるマスコミだけってことだ。
時代はいつの間にかすっかり変わってしまっているのに、古いスタイルのお祭りばっかり見せられるのにはもう飽きてしまったなぁ。

よく晴れた秋空の元、なんとなくぽっかりと穴の開いたようななんだかなぁ感を引きずりながら、聴いていたのはこんな音楽。
一人が似合う男たちの歌。

大きな流れに乗っかってりゃとりあえずどこかそれなりの場所へ連れて行ってくれるような時代ではもうない。だからこそ、一人一人がちゃんと受け止めて真剣に考えて自分なりの答えを導き出さなくっっちゃいけなくて、それはとてもしんどいことだけれどとても大切なことなんだ、と、彼らは二十年も三十年も前から歌ってくれていたのだった。


American Fool  Darkness on the Edge of Town  Like a Rock

Wildflowers  ソウル・アローン
  

American Fool/John Cougar
ジョン・クーガー1982年の大ヒット作。
しゃがれ声で苦みばしったヴォーカルで青春時代特有の苦悩や苛立ちを歌う姿、ビートが効いていてかつアコースティックな感触も残るタイトな演奏。これは大好きだったなぁ。
そして、このヒット作で開かれたスター街道を拒否し、芸名クーガーを捨てて本名に戻り、地元インディアナにこもったまま意固地な活動を続けていく、そんなバカみたいな頑固さやカッコつけ方にもシンパシィを感じたものです。

Darkness on the Edge of Town/Bruce Springsteen
秋の青空みたいに、晴れやかで、天高くどこまでも続いていきそうな“Bad Land”、一転してとてもヘヴィでワイルドな“Adam raided Kain”、祈りのような“Streets of Fire”…。
前作『Born to Run』で飛び出していった若者たちがたどり着いたのはどん詰まりの絶望的な場所。その場所でしたたかに吠え、腹の底で秘かな誓いを立てるような歌たち…。
久しぶりに聴いて改めて、めちゃくちゃしびれてしまったのでした。

Like a Rock/Bob Seger&The Silver Bullet Band
「岩のように/できる限り強く在りたい/岩のように/誰も連れ去ることなどできはしない」
染み入るようにせつせつと、しかし迸る情熱を込めて歌いこまれる“Like a Rock”。
山男のようなむさくるしい風貌、いまいち地味で、どこか垢抜けなくて、良くも悪くも素朴な田舎のアメリカ人的なボブ・シーガーのことを、知らないとか好みじゃないという人はたくさんいても嫌いだという人は聞いたことがない気がする。

Wildflowers/Tom Petty
トム・ペティ。なんなんだろうね、この人の、ちょっとザラついて斜に構えた、そのくせとびっきりにイノセントで涙もろくてセンチメンタルな感じっていうのは。
この1994年のソロ・アルバムはどちらかといえば淡々と控えめな楽曲が並んでいるけれど、どこかザラザラした肌触りがあって、そのザラザラ感はきっとバンドではなくソロでなければ表現できなかったのだろうと思わされるような少しヒリヒリした感じで、それがこの人らしくてかっこいい。

Soul Alone/Daryl Hall
これ、かっこいい。ホール&オーツでのポップな親しみやすさとはまた違った、クールでアーバンなソウル、スムーズなグルーヴ。そして何より艶っぽさ。
ソウル・アローン。孤高の魂って?そんなことを考えながら聴いていたら、「迷ったら一人で向き合う。自分に素直になれば、自ずと答えは出ているんだろう?」とダリル・ホールが呟き、ニヤリと笑った…ような気がした。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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