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続・音楽歳時記「夏至」

6月はどちらかといえばあまり好きな月ではないのです。
じめじめと湿気が増えて不快指数が上がっていくし、蒸し暑かったりとたんに涼しかったりで体調管理も難しく、なんとなく血の巡りがぐずぐずしてなんだかなぁ感がつきまとう。
春の爽やかさやうららかさはなく、一方で真夏や真冬のように肚を据えて挑むほどでもなく、どこか中途半端というか過渡期的というか。

そんな6月に好きなことがふたつ。
ひとつは、夜に窓を開けて眠ること。
昼間の蒸し蒸しが退いて涼しい風が入り込んでくるのを感じながら眠るのが心地よい。明け方に少し冷えて、ふとんをかぶりなおしたりするのも心地よい。
もうひとつは、まだ日があるうちに退社できる機会が増えること。仕事が終わってもまだ明るいと、ちゃんと仕事以外の自分の人生の時間が確保されているような嬉しい気持ちになれる。
本屋にでも立ち寄るか、ビールでも飲みにいくか、それともぶらぶら散歩でもするか、なんて、なんとなく心に余裕ができる気がするのですよね。

6月21日は夏至。
夏至を過ぎるとだんだんと日暮れが早くなっていくのは少し悲しい。
仕事もここから秋まではどんどん忙しくなっていくし。
切羽詰まってキリキリするのは自分も周りもしんどくなるからね、余裕、ゆとり、失いたくないですね。

そんなゆとりを感じられる音楽を夏至の一枚に。
原田知世さんの『音楽と私』。

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音楽と私 / 原田知世

原田知世さんの、まぁいわゆる過去のヒット曲のセルフ・カバー集なんだけど、決して昔の名前で出ています的なテイストではなく、大人になった立ち位置で歌われた歌。今の知世さんの充実ぶりが感じられる。
さっぱりと爽やかで明るい感じが素敵。

爽やかといってもカリフォルニアみたいなカラッとピーカン湿度ゼロみたいな爽やかさではなく、ミストシャワーみたいな穏やかな湿り気があるし、明るいといってもはしゃぎまわったり能天気だったり或いはネオンライトのギラギラだったりみたいな明るさではなくて、ちょうど仕事あがりの夕方の空みたいな明るさなんですよね。
穏やかな湿気と淡い明るさ。
そのバランスがすごくいい。
心にスゥーッと心地よい風が吹く感じ。
ぐずぐずする心やだらだらする体を、やわらかく解きほぐしてくれる。
声もいいよね。声量のあるヴォーカリストではないけれど、透明感や清涼感のある独特の雰囲気が素敵なんだな。
アンニュイな雰囲気はあるけれど気だるくはならない。ウィスパー系の息づかいが聴こえるような歌い方をしてもぬめっといやらしくはならない。ふわっと異空間へ連れていってくれるような浮遊感もあるけれど、しっかり地に足がついた生活感もある。そして年齢を重ねた分だけ、声に奥行きや陰影があってそれが実にいい味わいになっていて。
とてもいい年齢の重ね方をされている感じが、同世代としてとても頼もしくもある。

こういう心地よさに包まれていると、バスケットにサンドイッチでも詰めて、お気に入りの帽子をかぶって、木綿のワンピースでも着てちょっと公園にでもお散歩に、みたいな乙女っぽい気分になってくるよね。
いや、ワンピースは着たことないけど(笑)。
あれ、風が通って心地よさそうなんだよなぁ。
女装癖はないけれど、ワンピースは着てみたい。或いは生まれ変わったらワンピースが似合う女の子に生まれ変わりたい(笑)、なーんて軽口のひとつやふたつもチョーシこいて言えるような余裕、ゆとりが大事かと。



夏至を過ぎれば1年ももう折り返し。
年を重ねるごとに1年の感じ方は短くなるけれど、一方で季節の流れに感じる思いは年を重ねるごとに豊かになっていく気もする。
のんびり行こう。







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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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