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♪KYOTO 1985-2017

地下鉄の階段を上がると、よく見知った光景が広がっていた。
このあたりで僕は大学時代の4年間を過ごした。
もう30年も前のこと。
19やハタチの青二才だった。
ふらふらと界隈を歩く。
ショッピングモールには駐車場に並ぶ車の列。このショッピングモールは元々はでっかいバス停だったんだよな。
バイトしていた居酒屋はもうなくなってしまっていたけれど、建物や佇まいはそのまんまで別の名前のお店になっていた。
バイト帰りによくいった銭湯は健在だった。
最初に下宿した4畳半の風呂なしアパートはとっくに取り壊されて、ハイツみたいなものが建っていた。
下宿近所の某ファミリーレストランは、「カウボーイ家族」なんていうなんとも情けない名前になっていた。

界隈のはずれ、大学時代の先輩が、昔は集合市場だった場所を改造してアーティストたちの溜まり場的な怪しげなアジトを作っている。
そこで、大学時代からの友人のレコ発ライヴがあるんだ。
ちょっと寝坊しすぎた。慌ててパンをかじって電車に飛び乗ったものの、到着はギリギリだ。
冷たい北風を真っ正面に浴びながら、僕は急ぎ足で歩いた。
この町で過ごしていた19ハタチの自分のマボロシとすれ違いながら。
今はまだ懐かしくもなんともない。思い出したくもないほど嫌なことばかりだったわけでもなく、だからといってあの頃に帰りたいなんて思うほど甘く美しい青春だったわけでもない。ただただガキだったのだ。

あれからそれなりに遠いところまで歩いてきたつもりだったのだけれど。
たどり着いたアジトには、30年前とほとんど変わらないまんま、でもそれなりの大人になった奴等の顔が見えた。はじめて会う人たちも30年前から知り合っていたような錯覚をするような、そんな場所だった。
ライヴが終わって、廃業したパチンコ屋がどうだの、フランスへの37日ツアーがどうだの、鹿のローストがどうだの、まるで興味のないどうでもいいことをとうとうと語る人たちの話を聞きながら、まるで興味がないにも関わらずとても楽しく聞いていた。
なんだか愉快な気分だった。

♪覚えてるのは、あのオレンジ


オレンジ&ターミナル
オレンジ&ターミナル / 福田ユウイチwith後藤トシロウ


CDの感想はまた改めて。



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コメント

[C3134]

つき子さん、こんばんはー。
そう、「ん」です。
いいお店だったと思います。純粋に客として飲んだことはほとんどないけど(笑)。
京都はたくさんの人が、やってきては通りすぎていくところ。たくさんの人の青春の思いが今もゴロゴロと転がっているのでしょうね。
  • 2017-12-20 23:23
  • golden blue
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[C3133]

「ん」? いい居酒屋さんでした。お料理も美味しかったし。何年かの差がありますが、同じ空間で過ごしたわけですね。
  • 2017-12-20 22:13
  • つき子
  • URL
  • 編集

[C3132]

BACH BACHさん、こんにちはー。
学生時代に住んでいたのは京都市の北のほうです。たくさん大学があって、学生向きの安い定食屋とかもいっぱいあって住みやすいところでした。
今も住んでいるのはギリギリ京都市内なんですが、勤めは大阪なので、京都の町中へ行くことはめったにないんです。。。

  • 2017-12-20 08:24
  • golden blue
  • URL
  • 編集

[C3131] 京都で過ごしたんですね

京都駅周辺かどうかは分かりませんが、京都駅は大きく様変わりしましたね。京都は、僕も思い出がたくさんあります。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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