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♪ミサイルよりも恐いもの

熊が、夜な夜な畑を荒らしに山から降りてくる。
畑だけじゃなく、鶏が襲われたりする。
村人たちは、罠を仕掛け、猟銃を手にして、狂暴な熊を殺す算段をする。
だって、相手は話が通じる相手じゃない。
黙って襲われるわけにはいかないだろ。
だけど、そもそも熊が山を降りてくるのは、人間たちが山を荒らしたから。
食べるのに困った生き物は、餌を得るために、狂暴化する。生き残るために狂暴化する。

あんな危険な隣人は放置しておけない。
そもそもあいつらは頭がおかしい。
ほっといたら殺られてしまうかもしれない。
殺られる前に殺ってしまえ。
あいつらを叩き潰せ。

ミサイルも恐いけれど、そういう考え方がどんどん当たり前になっていくのはもっと怖い。

狂暴化した熊を一頭殺ったところで、山そのものが豊かにならなければ、きっとまた次の暴れ熊が現れる。
それとも、山の熊を根絶やしにすることこそが正義なのか?
歴史は勝者の側から書かれる。
反逆者にされた側の論理には誰も耳を貸さない。
そういう論理で根絶やしにされかけた経験から、山を豊かにしようと誓った先人たちの反省は、もはや年寄りの戯言と葬り去られてしまうのか。

武器を持って戦うことがどうしても避けられないことはあるのだと思う。
けど、それは本当にやむをえないどうしようもない場合にのみとらざるを得ない非常手段であって、武器を持つものはそのことをよく理解していかなければならない。
力の誇示のために武器を使うものは、その力に復讐される。まして隣人を力でねじ伏せようとするものこそ、やがてその力故に滅びるものだ。
なんていうネイティブ・アメリカンの格言があったかどうかは知らないけれど。

あんな危険な隣人は放置しておけない。
そもそもあいつらは頭がおかしい。
ほっといたら殺られてしまうかもしれない。
殺られる前に殺ってしまえ。
あいつらを叩き潰せ。

ミサイルも恐いけれど、そういう考え方がどんどん当たり前になっていくのはもっと恐い。

20170830080926f99.jpg
Voice Of America / Little Steven

I am a Patriot

ブルース・スプリングスティーンの右腕、リトル・スティーヴンが歌っているこの歌。
パトリオットというと追跡型ミサイルを連想してしまうけど、愛国者という意味。
ただ、この愛国者という言葉も誤解を招きやすい。誰も否定しにくい考え方であるだけに政治的な言葉として利用されやすい。
党派やイデオロギーではなく自分の生まれた国を愛する気持ちを、スティーヴンははっきりとこう歌っている。

俺は共産主義者じゃない
俺は資本主義者じゃない
俺は社会主義者じゃない
俺は帝国主義者じゃない
俺は民主党員じゃない
俺は共和党員じゃない
俺が知っている党はただひとつ
それは自由

世の中がキナ臭くなると、誰も反対できない正しさにかこつけた論理の飛躍で、それを自分たちの党派の主張に取り込もうとする人たちが出てくるのには注意しておきたい。



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コメント

[C3087]

LA MOSCAさん、毎度ですー。
ほんとにね。群衆心理と全体主義、恐いです。
こーゆーこともそのうち相手選んでひそひそ声でないと言えなくなっちゃうんじゃないかって、不安になりますね。。。

  • 2017-09-04 23:46
  • golden blue
  • URL
  • 編集

[C3086]

一番怖いのは群集心理と全体主義。
怖いだけじゃなくて嫌い。
その大きな波に呑まれないで自分の意思を貫きたい。
  • 2017-09-04 20:45
  • LA MOSCA
  • URL
  • 編集

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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