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◇橋をめぐる物語

川が流れる風景を見ているとなぜか落ち着くのは、うお座生まれのせいか、それとも誰でもみんなそうなのか。
普段の暮らしでも、どこかへ旅行へ行ったときでも、なんとなく川のある風景を眺めたくなります。
そしてそこに橋があると、景色がより立体的になっていい。
というわけで、橋の話。

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橋をめぐる物語 / 中野京子

中野京子さんのこの本は、古今東西のいろいろな橋にまつわるエピソードが、短いながらも端正な文章で綴られたもの。西洋文化史に造詣が深い中野さんならではの中世ヨーロッパの橋はもちろん、日本やアメリカの橋、大きさも形も時代も様々で、歴史的に大きな意味をもった橋、絵画や小説に書かれた橋、恐ろしい言い伝えのある橋・・・などなど、テーマごとに奇・驚・史・怖と章が分かれている。

橋とは、ふたつのものを「つなぐ」場所であり、「渡る」という行為が人生の転機を象徴するものなんですね。
また、人生が交差する場所であり、此岸と彼岸と繋ぐ所。
あちらに渡れるなら、あちらからもこちらに異界のものが渡ってくるという意味でも怪しく危うい場所でもある、と。
深いなぁ。
橋は比喩でもいろいろ使われます。
「危ない橋を渡る」とか「後戻りできない橋を渡った」とか「人と人との橋渡しをする」とか。
実際50年の中ではいくつか危ない橋や後戻りできない橋を渡ってもきたし、きっとまだこれからもいくつかの橋を渡っていくことになるんだろう。
英語には“Don’t cross the bridge until you come to it.”、橋に来るまでは橋を渡るな、ということわざがあって、要は先のことを取り越し苦労するな、ということ。橋に来たときに決断すればいいのだ。
「石橋を叩いて渡る」という言葉もあるけど、橋を渡るたびに叩いてたんじゃきりがない。渡ると決めたらエイヤァーって渡っちゃいたいですね。


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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