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♪サラリーマン

月曜日、朝。電車に乗った途端に車内放送で「ただ今○○駅で人身事故がありました。延着が予測されますことを予めお詫び申し上げます。」みたいなアナウンスが流れる。
結局40分遅れ。遅刻した。
飛び込みだったようだ。
死にたきゃ勝手に死ぬのは止めはしないけれど、電車に飛び込みだけは勘弁してほしい。
まったくもって迷惑甚だしいったらありゃしないぜ。

ただ死んだ奴以上にムカつくのは、鉄道会社。
未だに「線路に飛び込まれた」被害者づらして、「こっちだって迷惑かけられてるんですよ」的な対応しかしないのが納得いかない。年間3万人が自殺する今の世の中で、ふらっと気の迷いで飛び込めてしまうような駅を放置しているのは、もはや安全義務違反ではないのか?例えば特急や急行の通過駅だけでもホームに柵を作ってみれば?「気の迷い」で飛び込んでしまえるか、「柵」をくぐらなきゃいけないか、この違いはとても大きいと思うのだ。誰か自殺者の遺族でも逆に鉄道会社を安全義務違反で訴えたりしないものだろうか?安全策としての安全柵(笑)ができるまでボイコット運動でもしたいものだが沿線住民にとって鉄道会社というのはある種の寡占企業だからムカついても結局乗らないわけにはいかないのが癪。
そんなことを朝からちっとも動かない満員電車の中で考えていた。
それでも毎朝満員電車に乗らなきゃならない。
まったく、サラリーマンは辛いのだ。


僕は、昔から満員電車が大嫌いで、まぁもちろんあんなもの好きな奴なんていないだろうけど、最初の会社を辞めてプラプラしたあと再就職する時に今の会社を選んだ大きな理由のひとつが「電車で都会へ通勤しなくていい」という理由だったのだ。実は。配送センター勤務は駅から遠い場所にあったから車で通勤できたのだ。ネクタイしなくていい、スーツ着なくていい、それから変なおっさんに媚売って会社回りしなくていい・・・ほんとうにたわいもないくだらない、けれどそのときはそれなりに自分ではスジの通った動機だったです(笑)。
それが今じゃ、スーツ着て、毎朝満員の通勤電車。
ネクタイだけはよっぽどのあらたまったとき以外はご勘弁を、というのはその頃の気持ちの名残か。


そんなわけで、今日の一曲は、『サラリーマン 』。

サラリーマン 

サラリーマン/忌野清志郎

(歌詞)


この曲は1994年発表なのだけれど、クレジットに作詞/忌野清志郎 作曲/肝沢幅一 とあるから、ずいぶん古くに作った曲らしい。(肝沢幅一ってのは、トリオ時代のRCの頃の清志郎のペンネームですね。)
歌詞だけを読めばどこか悲しい感じがするだろう。
永遠に社会に縛り付けられたままのサラリーマンの悲哀、そしてそんなサラリーマンをどこか揶揄してるみたいな、そんな、若い頃に拒否したくなるようなサラリーマン像が浮かんでくる。
ところが、歌から聴こえてくるメッセージは、ちょっと儚げだけれど、とても肯定的であたたかいのだ。
それは、きっと、清志郎がサラリーマンを見る目が変わったからだと思う。
若い頃に見えたサラリーマンの姿と、自分がある程度の齢になってから見えるサラリーマンの姿。
とてもかっこ悪いと思っていたけれど、実はそうばっかりでもなかった。家族のため、社会のため、そして何より自分のために働く姿は、実はとてもかっこいいんじゃないだろうか、なんて。
清志郎の歌う歌からは、そんな儚くも優しい、一人の人間としてささやかに生きているかっこよさが聴こえてくるのだ。
そして、いつの間にか僕もそう思うようになっていた。
だから、今は満員電車もそんなに苦痛じゃない。
今日みたいな人身事故の日以外はね。

それにしても、「子供じゃなけりゃ、誰でもふたつ以上の顔を持ってる」ってフレーズは素敵だな。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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