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♪Glad and Sorry

前回の記事に、自分のお葬式の最後にジョーイ・ラモーンの“What a Wonderful World”をかけてほしいと書いたけれど、実はオープニングの曲はもうずっと前から決めてある。
フェイセズの“Glad and Sorry”。
ロニー・レーンの歌う、淡々とせつない、けど、どこかこざっぱりとしたナンバーだ。


ウー・ラ・ラ(紙ジャケット)

Ooh La La/The Faces


おもむろに、イアン・マクレガンのピアノが始まる。
ロニー・レーンのベースが入ってきて、ロン・ウッドがアコギを鳴らす。
参列者の列の中に、僕は君の姿を探すだろう。


優しくしてくれてありがとう。
僕のことを思ってくれてありがとう。
あいそ悪くてごめんね。
ちょっと考え事をしてたんだ。

ありがとう、それからごめんなさい。
幸せなことも、悲しいこともたくさんあった・・・


30年後なのか40年後なのか、それともその日はある日突然に予期せぬ形でやってくるのか。
いずれにしても、自分のお葬式のことを考えると、なぜだか穏やかな気持ちになる。
不思議なことだけど、そのことを考える時、死への畏れは消えているのだ。

雲に霞んだきれいなお月様を見て、台風が来て強い風が吹いて、それから台風が去ってさわやかな青空が広がって、毎日いろんなことがあって、いろんな人に会って、いろんな話をして、それから一人で眠る。
そんなふうに毎日は過ぎていく。
今日みたいな優しく緩く、そして少しせつなげに晴れ渡った空の日には尚更、フェイセズがよくしみる。
楽しいこともしんどいことも、過ぎていく毎日の中で、ロン・ウッドの弾くスライド・ギターみたいに、少しづつ透きとおってゆく。

誰かに優しくしてもらった記憶は、透明になって空の色と一緒に混ざって、見えなくはなるけれどずっとそこにあるような気がする。そのほのかに甘い記憶がある限り、僕は怖くもないし悲しくもない。

そんなことをふと思った、穏やかな秋の日。


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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