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♪What a Wonderful World

木曜日、学生時代の友人から久しぶりの電話があった。
「おぉ、ご無沙汰!どうしたん?」
「いや、実は、あんまりええ知らせではないんやけどな・・・・。」
そう言って彼は、学生時代に共にバイトをしていた居酒屋で、とてもお世話になったおっさんが亡くなった、と告げた。
とにかく酒が大好きな人だった。
仕込みしながら、焼き鳥を焼きながら、接客をしながら、いつでも酒を飲んでいた。
ヤクザみたいな、それも一昔前の仁侠映画のヤクザみたいな出で立ちで、くたくたの絹のシャツに金のネックレス、伸びてくずれたパンチパーマで、ギョロッとした目玉のいかついおっさん。酔っぱらっていても酔っぱらっていなくてもぶっきらぼうで、でもどこか憎めない可愛らしさのある人だった。
二十歳そこそこの僕らは、そんなおっさんとの関わりの中で大人になることの怖れを取り払っていったのだ。「こんなにやんちゃなまな大人になるのもありなんだ。」って。
金曜日、当時おっさんとバイトをしていた仲間たちをおちあって、お通夜へ。
そこで対面したおっさんは、働いていた頃よりもっと痩せこけてガリガリだった。
おっさんのお兄さんらしき人が「生きていたときは酒ばっかり飲んで人に迷惑ばっかりかけて、と思っていたけれど、こんなにもたくさんの人から慕われていたなんて…驚いているけれど、それは私にとってもとても嬉しいことです。」と語ってくださった。
ひとしきり懐かしい思い出話や、いろんな奴等の近況や消息や噂話をしてから、「これから、こんな機会で会うことの方が多くなるんだろうな。」などと呟きながら仲間たちと別れた。


土曜日、仕事の用事で街へ出たついでにタワーレコードで、ジョーイ・ラモーンのソロ・アルバムを買ってきた。『ドント・ウォーリー・アバウト・ミー』。
LA MOSCAさんのブログ で紹介されていて興味を持っていたアルバムだ。
そして、今日も朝からずっとコレを聴いている。


Don't Worry About Me

Don’t Worry About Me/Joey Ramone

2002年にリンパ系の癌で亡くなった、ラモーンズのジョーイが唯一残したソロ・アルバム。
癌と戦いながら、自らの死と向き合いながら、こんなにも素敵なロックンロール・レコードを作ってしまうなんて、さすがは20数年間ラモーンズでシンプルで、ちょっとお茶目なロックンロールばかり歌ってきた男だと思う。
死を覚悟した上で“Don't Worry About Me”なんて歌える彼のポップさは、ほんとうに彼らしくてカッコいい。それから「病院のベッドに寝そべってるんだ、ほんと嫌になっちまうぜ」と歌う“I Got Knocked Down”なんて曲もあって、病院のベッドで退屈しているジョーイの姿を思い浮かべてなんとなく微笑ましくなったりする。
このアルバムを聴いていると、なんていうか、ジョーイの親族なんかもきっと、生きているときは人の言う事聞かないで好き勝手ばっかりする迷惑掛けてばっかりのどうしょうもない男だと思っていたけれど、ほんとうに世界中の人々から愛されていたんだな、好きなこと取り上げて延命するよりも好きなことやって「心配するな」とかっ言って勝手に向こうへ行ってしまうほうがジョーイらしい生き方だったんだろうな…なんて思ったんじゃないかという気がするのだ。

そして、何よりも最高にカッコいいのは、一曲目の“What a Wonderful World”。
ご存知、ルイ・アームストロングが歌った名曲だ。
この世界の、とても小さな幸せを肯定する素敵なうた。
ジョーイは、これを、ラモーンズ流儀のシンプルでポップでワイルドなロックンロールにして、自分自身の最初で最後のソロ・アルバムの一曲目に持ってきた。
そのことそのものが、とっても素敵なメッセージなのだと思うのだ。
世界はいつだって素晴らしいもので満ちあふれていたし、俺はそんな世界が大好きだったし、だからこれからもみんな楽しくやりなよ・・・って。
そうだ、自分のお葬式の最後には、コイツかけてほしいな。
ひとしきりの儀式が終わってしんみりした後、大音量でこの曲をぶっ放すんだ。
サンキュー、みんな、アイラブユー!元気でやれよ!って感じでね。
うん。そいつは最高のアイデアだ。
What a Wonderful World!!



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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