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♪From the Dark end of the Street…

イントゥ・ザ・ミュージック(紙ジャケット仕様)

Into the Music/Van Morrison

「どんな音楽好きか?」と問われると、あまりにも答えの幅が広すぎてとりあえず「ロックやソウル」と答えるしかないのだけれど、そのとき僕のいう「ロックやソウル」と相手が理解する「ロックやソウル」にはずいぶんズレが出てしまうことになる。そもそも「どんな音楽好きか?」なんてことを一言で答えられるわけもないので仕方がないことなのだけれど。
では、僕がいう「ロックやソウル」とは一体何なのか?
単にレコード会社が区分けしているジャンルではない。
まして、「白人ならロック、黒人ならソウル」というようなものじゃない。
要は、心のどの部分に効くか、どんな気持ちを呼び覚まされるか、だ。

ロックは、一言で言えば、興奮剤。奮い立たせてくれるもの。
太陽のように自らエネルギーを放射している音楽。
何かに立ち向かっていかなきゃいけないときに必要なたくさんのエネルギーを送り込んでくれるもの。
だから、例えばオーティス・レディングは僕にとってはロックだし、マジック・サムもロックだし、チャーリィ・パーカーもロックだ。
一方、ソウル・ミュージックはもっと魂の深いところをさすってくれるようなもの。
魂の深いところまで届いて、傷口を癒し、疲れをほぐし、エネルギーが心の底から湧き上がってくるのを助けてくれるようなもの。
例えば、ボブ・マーリィのレゲエはロックだけど、ジミー・クリフのレゲエはソウル。
古謝美佐子はソウル。ロバート・ジョンソンもソウル。ザ・バンドもソウル。
そして、僕の中では、ヴァン・モリソンもソウル・ミュージックなのだ。

ヴァン・モリソンの“Brightside of the Road”は、ヴァン・モリソンの中でも一等大好きな曲。
カントリーみたいなのどかなビート、ホーン・セクションの軽快なリズム、ウキウキしたときのハナウタのようにフィドルがかぶさり、ヴァンが歌いだす。

暗い行き止まりの路地裏から/通りの陽の当る側へ/通りの陽の当たる側でなら/僕らもう一度やり直せる気がする


人事異動を命じられ、今までとは違う職務を任せられることになった。
それは形式としては降格なのだけれど、以前に任されていた仕事よりもはるかに自分らしいと思える仕事で、とても嬉しいし、とてもワクワクしている。
それで今、ちょうどこういう気分なのだ。
雲のすき間から光が射して、晴れ間が見えてくるような。
何かが変わりそうな気がする。
そのことで何かがわかりそうな気がしている。

なんでこの世に生まれてきたのか/時々わからなくなってしまう/時はまばたきのようにあっという間に過ぎてしまうけれど/
できるだけ楽しもうよ/だから、僕が歌うのにあわせて一緒に歌ってくれないか/
暗い行き止まりの路地裏から/通りの陽の当る側へ


願わくば、これからはソウル・ミュージックのように生きていきたい。
たくさんの人の心の泉でエネルギーが干上がりかけている。
誰かの歌が僕のエネルギーの源になってくれるように、そのことに励まされ勇気づけられていくことがまた誰かのエネルギーになればいいな、と思う。
そうやって世界中にソウルが満ちていけばいい。
そんなことを夢に見ながら、聴いていた“Brightside of the Road”。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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