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♪明るい太陽のような音楽が聴きたくて~Superfly 『Superfly』~

Superfly

Superfly/Superfly

明るい太陽のような音楽が聴きたい。

そんな思いから手に入れたのは、今やヒットチャート№1のSuperflyのデビューアルバム。
60年代~70年代のロックをベースに黒人音楽のフィーリングがたっぷりの音。それにのる、パワフルな志帆のVo。

正直、自分がヒットチャート№1のアルバムを手にするとは思っても見なかった。
いわゆるJ-POPとひとくくりにされる日本の音楽シーンについては、悪くはないし、優れた表現者がたくさんといるとは思っているけれど、結局のところ手に入れるに至ったのは、ハナレグミと、くるりと、サンボマスターくらいだろうか。そもそもこの十年以上、新しいアーティストのアルバムはほとんど聴いていない、というのが実情だ。90年代以降の新しく出てくるアーティストのほとんどは、元々誰々に影響された○○風、とか、○○と△△をミックスしたらこんな感じ、とか元ネタがはっきりしていて、結局その多くは失敗とまでは言わないまでも及第点どまりで、心を揺さぶられるには至らなかったし、ヒップホップやオルタナティヴといった、ポスト・ロック的な価値観はどうもしっくりくるものではなかったからだ。
ロックやソウルが60年代~70年代にピークを迎えた表現である以上、90年代以降のアーティストは偉大なる先達の影響を免れることはできず、結果的にはフォロワーか、縮小再生産か、組合せの妙か、奇をてらってすき間を狙うか…生き物の進化の過程でどんどん細部が特化していくように小ぢんまりしていくしかないわけで、歴史的評価が確定した音楽には質的には敵わない。それはある意味仕方のないことなのだ。

前置きが長くなりすぎた。
Superfly。
僕は好きだ。率直にカッコイイと思う。
このストレートで奇をてらわない真っ直ぐさはどうだろう!
歌や音に込められた魂の在り様、その確かさはどうだろう!
素直に力が湧きあがる音楽だ。

音楽的には60年代~70年代のロックのコピーでしかない。言葉の選び方も新しくはない。志帆のパワフルかつデリケートなVoには、敬愛するというジャニス・ジョプリンとキャロル・キングからの影響がそのまんま。はっきり言って学生のコピーバンドに近いものがある。それくらい新しさのかけらもない。
でも、この音楽がこんなにも多くの人の心の奥まで届いたのは、新しくならねばならない呪縛から逃れて、理屈抜きに大好きな音楽を素直にプレイする無邪気さ、明るさ、潔さ、清々しさが、人の心を震わせるサムシングを持っていたからだと思う。今の時代に、みんなが足りないと思っていた何か。

アップでポジティヴな“Hi-Five” やロック・スピリットをぷんぷん漂わせる“マニフェスト” はもちろんだが、アルバムで一番気に入ったのは、ゴスペル風に盛り上がるソウルフルなバラッド“I Remember” 。

自分の弱さや小ささに悩んで、だからこそ自分らしく生きていこうと決めた、そんな思いをした人が紡ぎ出す言葉や歌だからこそ、青臭いメッセージも上滑りせずに素直に響く。40過ぎて、もはや心が固まり始めた僕のような者の心にも、真っ直ぐ届いてくるのだと思う。

そうだな、結局はそうなんだよな、理屈じゃない、心の底から湧き上がるものだけが人生を動かすのだな、と、妙に納得しながら、リピートボタンを押すのだった。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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