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音楽歳時記「霜降」

霜降。
霜が降りるころ、という意味で、北国や山間部では霜が降りて朝には草木が白く化粧をする頃。野の花の数は減り始め、代わって紅葉が盛りとなる頃。

この一週間、ずっと雨が降っていた。
そして僕はこの一週間、ずっと23時まで働いた。
半分意地になっていろいろと引き受けていたら、いつの間にかパンク寸前。
それに、いろいろと納得のいかないことも多くてね。ちょっとやさぐれてる。
良かれと思ってやった努力はまるで報われず、正当な怒りを発露すればむしろ厄介もの扱い。なんだかなぁ。僕の心にも霜が降る、そんな10月だ。
季節はずれの大型台風も近づいて、休日も表へ出る気にもならずうだうだのグタグタ。夕方から飲んでやる。
めんどくさいことは忘れて、ゆるめなきゃ持たないぜ。
そんなちょっとやさぐれ気味のうだうだダラダラの気分によく合う一枚が、例えばキンクスのこれ。

th4MB5BRI9.jpg
Muswell Hillbillies / The Kinks

こんなふうにゆるくダラダラやりたいよね、ほんとはね。
テレビでは政治屋さんたちが、我田引水で調子のいいことばっかり訴えてる。都合の悪いことは棚上げにして、現状の問題点をつまびらかにせず、何をどうしていくのかのプロセスも示さず、スローガンだけを高々に声を張り上げて。
偉い人たちはいつもそうなんだ。
立派なスローガンさえ掲げりゃ、なんとかなるもんだと思ってやがる。
どんなことでも、現場で働く人たちが額に汗して働いて形になるんだぜ。
そして、何もかもプランを描いたようにはうまくはいかない。何かを改革していくときには、痛みもつきまとう。我慢する時期だって必要だ。やりはじめて、結果がうまくいかなくなったら、いきなり掌返すんじゃないだろうな、っていう疑念が消えないんだよな、あんたたちがいままでやってきたことの経験上で言うと。

Ain't got no ambition,
I'm just disillusioned
志なんてどこにもない
ただ幻滅があるばかり

って、レイ・デイヴィスが歌ってる。

そしてこんなふうにも。

Gotta keep a hold on my sanity
自分の正気にしがみついていないとな

って。

but I don't wanna die here.

でも、こんなところでくたばるわけにはいかないな。


なぁーんて気分のブルーな秋。
そもそも、日に日に寒さが増して、だんだんと暗くなるのが早まっていくこの時期はあんまり好きじゃない。なんとなーく憂鬱になる。
いっそもっと早く真冬になればいいのにな、なんて、そんな気分を横に置いてキンクスはふぬけたリズムですっとぼけた歌を歌ってくれるのがちょっとした救い。
そんな雨の秋の日。






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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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