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♪CHURCH

訃報があるたびに追悼記事を書くのはどうも気が重い。
けれど、川村カオリさんのことは書き記しておきたい。

帰宅して、パソコンをチェックして、何気なくニュースをチェックして、「えっ?」って感じ。
5月には復活ライヴもやって、ニューアルバムも出して、これからもずっと精力的に活動していくんだと思っていた。

CHURCH 

1990年前後くらいかな。無職でぷらぷらしていただった頃、よく聴いていたこのベスト・アルバム。
「僕」という一人称で歌われることが多い、決して巧くはない彼女の歌は、でもなぜか僕の心にはストンと落ちたのだ。
彼女の歌からこぼれ落ちる、喧騒の中の透明な孤独感。イノセントだからこそ傷ついてしまう哀しみ。
そして、それでも信じようとする健気さ、ためらいながらも明日を変えるためのほんの少しの勇気。
声高に「愛」や「希望」や「元気」を叫ぶ、薄っぺらくてうっとおしい人生応援系カラオケソングが巷にはびこっていたあの頃だったから尚更、彼女の凛とした佇まいは、とてもクールだった。

それからも紆余曲折いろいろあったようでニューヨークで住んだり、結婚して出産して離婚したり。
乳がんの転移の発表後は、積極的にメディアに出て、がん予防を語っていた彼女(…実はこのことと清志郎のことがあってから、自分もガン保険に入ったんだけど)。
なのに、ここで死んでしまったら、本当に、お涙ちょうだいの安っぽいドラマみたいじゃないか。
生きて、生き延びたからこそ歌える、あなたの歌が聴かせてほしかった…ってね。


(7/30追記)
それにしても、自分が同じような立場に立ったらどうなんだろうか?
彼女みたいに勇気を持って、自分の運命を受け入れることができるだろうか?
運命を受け入れた上で、自暴自棄にならず、悲しみに打ちのめされず、希望失わずに、精一杯立ち向かっていく、なんていうことができるだろうか。
とても想像できない。きっと恐れおののいて、じたばたして、自分の運命を呪って、世界中に唾吐き散らかすんじゃないか、って気がする。
彼女は最後まで相変わらず、凛としてクールだった。
彼女はとても強かった。
カッコよすぎるくらい。
そして、そんな彼女が見せてくれた強さや勇気は、これから先、きっと誰かの心の支えになっていくのだろう。


    
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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