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音楽歳時記「立夏」

5月5日は立夏。
夏の気始めて立つ。
暦の上では今日から立秋までが夏。
野山に新緑が目立ちはじめ、風も爽やかになって、いよいよ夏の気配が感じられるようになる時期です。

一年を一生と考えると、5月頃っていうのは思春期の入り口にあたるイメージがある。
すべてが初々しく、活気にあふれ。やんちゃでむこうみずで、その分、痛くてせつなくて。
あたたかい気候に誘われて表でやんちゃに遊ぶのもいいし、逆に明るい陽射しから逃げるように部屋に閉じこもっているのもそれはそれでよし。
そんな思春期のイメージと重なるのがRCサクセションのこのアルバム。
1980年、僕も思春期の入り口にいた。

22.jpg
Please / RCサクセション

“モーニングコールをよろしく”とか“体操しようよ”みたいな、ちょっとかわいらしい、無邪気な歌がたくさん入っているんだよね。“ミスターTVプロデューサー”もどこか引きこもりの少年の呟きっぽくてなんとなく共感しちゃうし、“僕はタオル”みたいなぶっ飛んだ異色作も入っている。
それから、キョーレツなインパクトを持った“ダーリン・ミシン”、“DDはCCライダー”。その後ライヴの定番になった“Sweet Soul Music”や“いいことばかりはありゃしない”の影で、定番にはならなかったしベスト盤にも収録はされないけれど、いかにも清志郎らしいチャーミングな曲がたくさんあって。
どの曲にも、あの時期の清志郎にしか書けなかったような無邪気さがあります。無邪気であるが故の自信と、それを認めない世の中への不審と、それらがないまぜになってごちゃごちゃになって溢れだしてくるような。光と影、すなわち思春期。

それから、なんといっても“トランジスタ・ラジオ”だ。
5月の青く晴れ渡った空を見上げながら、タバコを一服。
そのとき、僕はいつでも屋上にいる。
内ポケットにはいつも、トランジスタ・ラジオだ。
君の知らないメロディー、聴いたことのないヒット曲、なのだ。
彼女が教科書を広げているときに、ホットなナンバーが空へ溶けていく。
夏が始まる。






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コメント

[C3035]

LA MOSCAさん、毎度です。
自分的原点というか基礎というか、「トランジスタ・ラジオ」はRC清志郎の名曲群の中でもちょっと別格です。この曲の青っぽさは全体の中ではちょっと異色というか、この時期にしか書けなかったというか、『PLEASE』にはそういう曲がたくさんある気がします。
  • 2017-05-14 13:44
  • goldenblue
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[C3033]

波野井さん、ご無沙汰です♪
そういや僕もウォークマンでした(笑)。
ラジオを持ち込んで授業中に日本シリーズの中継聞いたりはしてたけど、そもそもお昼のラジオではかっこいい曲は流れませんでした。FMも少なかったし、FENとか入りませんから。
  • 2017-05-14 13:28
  • goldenblue
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[C3032]

ずっと、一番RCらしさを感じる曲は「ラプソディ」だと思ってたけど、最近は「トランジスタラジオ」かな?って。
清志郎ではなくRCからしか出なかった曲じゃないかと。
思えば、『PLEASE』にはそんな曲がぎっしり詰まってますよね。
  • 2017-05-13 21:47
  • LA MOSCA
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[C3030]

お久しぶりです!

自分の高校時代とか、もうトランジスタラジオとかじゃなかったんですよね。
ウォークマン、カセットの(笑)
だけど、学校の屋上で授業さぼりながらトランジスタラジオ聴いてたらカッコいいだろうなあ、っていつも思ってました(^_^;)

ダーリンミシンは、自分の中ではラブソングで、しかもかなり大好きなラブソングです(^^)
  • 2017-05-13 10:21
  • 波野井露楠
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[C3029]

deacon_blueさん、こんにちは。
このアルバムに収められた曲のほとんどは、フォーク時代の曲なんでしょうね。バンドで作ったのは“DD”くらいでしょうか。
とにかく売れなきゃということを意識したと後日どこかで読みましたが、その割りには売れそうもない曲がいっぱいなところも、今となっては微笑ましいです。
  • 2017-05-07 11:50
  • goldenblue
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[C3028] 過渡期のRCサクセション

☆ RCサクセションが安定し始めたのはロック音楽には様々な形があることやそれぞれにはなにがしかのルーツがあることをパンクが登場することで若い世代が気付いたことがあったからだと思います。このアルバムに収録されている彼らのナンバーは必ずしもその当時の彼等自身の心象風景を歌っていない(過去に作った作品が含まれている)。その一方で『RHAPSODY』によって彼らを「発見」した若い世代にとっては,正真正銘の新譜だったわけです。その中でも1960年代後半の清志郎の心象風景を描いた「トランジスタ・ラジオ」は「ダーリン・ミシン」で歌われる「卒業してしまった学校」の残像がこの季節の青空に良く似合っていることもあって中々に愛しい作品であります。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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