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♪GUMBO YA YA

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Gumbo Ya-Ya / Various Artists

さて、ブラック・ミュージックに戻って、ゴキゲンな一枚を。
音楽の都、ニュー・オーリンズの、とにかくファンキーでゴキゲンでホットなテイクを集めたこのコンピレーション。
実はこのアルバム、学生時代、ボ・ガンボスが盛り上がっていた頃に一度ゲットしたものの、いまいちよくわからなくって一度は中古屋に売り払ってしまった過去があるのですが(苦)、無職時代にニュー・オーリンズを旅して以降、ようやくこのゆるくて熱い、体の底からあったまってくるようなニュー・オーリンズ・ミュージックの良さに開眼して再度買い直したというブツです。

ニュー・オーリンズの音楽がリズムとアンサンブルが豊かなのは、そもそもアフリカから連れてこられた奴隷たちが持ち込んだリズム楽器がニュー・オーリンズでは禁止されなかったから、と言われている。奴隷たちの祖国アフリカでは太鼓は共同体の通信の手段としても使われていた。複雑なリズムの組み合わせによって、距離を隔てた同胞と交信を行っていたのだ。奴隷たちが自分たちには理解できないコミュニケーション方法で連携して反乱を企てるのを恐れた白人たちは、奴隷たちから太鼓を取り上げた。が、ニュー・オーリンズは1803年にアメリカに売却されるまではフランス領だったため、太鼓の使用が許されていたのだ。
また、ニュー・オーリンズではお葬式の際は、故人が天国へ行くことを祝福するため、鐘や太鼓で派手に祭りたてる文化があり、その葬列には近親者以外も参列できる。金だらいや木管など思い思いに音の鳴るものを持ち出しては葬列に参加するのだそうだ。子供の頃からそういう文化で育つとリズム感、特に複合的なリズムへの感覚もよくなるのだろうね。
そうやってリズムとアンサンブルの文化的な下地があったからこそ、ニュー・オーリンズでジャズが生まれたのだろうけど、この街でジャズが生まれるきっかけになったものは、南北戦争なんだそうだ。当時の戦争では軍楽隊が威勢よくラッパや太鼓をうち鳴らして兵隊を指揮したり鼓吹したのだそうだけれど、敗戦で不要になった楽器がたくさん、当時南部で一番の都市だったニュー・オーリンズで安く売り払われたのだそう。そのことで、奴隷から解放された黒人たちに安価で楽器が行き渡ったのだそうだ。

・・・とまぁ、そういう歴史や文化的な背景を知ることはとても興味深いのですが、そーゆーのはあくまで副次的なもの、肝は音楽なんですよね。そのリズムやアンサンブルを体でや楽しみたい。心をオープンにして身を委ねたい。
結局のところ、音楽っていうのは音を楽しめるかどうかなんだからね。

さて、このアルバム、様々なアーティストの楽曲がごった煮的に入っていますが、実はそのほとんどにアラン・トゥーサンが一枚噛んでます。
ユーメイどころでは、ずっと長いことドクター・ジョンのオリジナルだと思っていた、デキシー・カップス“Iko Iko”。いかにもニュー・オーリンズらしいリズムが楽しい。ジョン・レノンもカヴァーしていたリー・ドーシーの“Ya Ya” や、ティナ・ターナーや上田正樹とサウス・トゥ・サウスも演っていた、ジェシー・ヒルの“Ooh Poo Pah Doo” 。“Time Is On My Side”や“Pain In My Heart”のオリジネイターのアーマ・トーマスからは“It's Raininng”、“Land of 1000 dances”のクリス・ケナーは“I Like It Like That”、いかにもニュー・オーリンズらしく賑やかなアーニー・K・ドゥの“Mother-in-Law”や超ファンキーなロバート・パーカー“Barefootin' ”などなど名曲ぞろい。
ほかにも大好きなのは、ちょっとドゥー・ワップな感じのチック・カ―ボ“In the Night” や、どこかセクシャルなベニー・スペルマン“Lipstick Traces” やレイモンド・ルイス“I'm Gonna Put Some Hurt on You” 、暑苦しいくらいの泣きがたまらんジョニー・アダムス“Reconsider Me”やエスケリータ“I Waited Too Long”。大御所ヒューイ・スミスの“Bury Me Dead” なんかも、コミカルながらペーソス溢れる感じがなんとも人間味があっていいんですよね。

ニュー・オーリンズの音楽ってのは、この人間くささが一番の醍醐味ですね。
楽しいことは踊り出すくらい楽しみ、悲しいときには号泣し、陽気であっけらかんとして、ちょっとすけべなところも含めて人間が生きているからこその生の感情がそっくり音楽からあふれでていて。そこには、海と大地の恵みに生かされ、自然の脅威からくる理不尽な悲しみも受け入れてきたたくましさがある。この世界への肯定感がある。だからこその、あっけらかんとした明るさがある。
土地や風土が起こすマジックっていうか、やっぱり気候が暖かくて自然の恵みにあふれた土地ではこんなふうにポジティヴなスタンスなるのかな。ゾクッとするような重さと暗さを抱えたニューヨークやロンドンの音とはまるで違って。
冷たい空気に肩をすぼめながら、こういう音楽を聴いて暖かい日を待つというのも一興。
そうして、ポジティヴなフィーリングを体の内側で膨らませるのだ。



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コメント

[C2984]

ezeeさん、毎度ですー。
今日も京都は雪ちらほらですが、ニューオリンズ・ミュージックは激アツ、暖房代わり、カイロ代わりに使えるホットさです。

  • 2017-02-07 08:53
  • goldenblue
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  • 編集

[C2983]

まいど、おいどー!
オムニバス盤もニューオリンズ・テーマは楽しいっすね。
5〜6枚は確実に買ってますわ。
一番聴いたのはコレとRHINO盤です。基本ビッシリですな〜
  • 2017-02-07 00:25
  • ezee
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  • 編集

[C2982]

BACH BACHさん、こんばんは。
そうですねー、若いときはもっと悪っぽくて破壊力のあるものに惹かれてました。こういうゆるい味わいがわかるのは、年を重ねてからです(笑)。
日本のヒット曲はやっぱりメロディーと歌詞重視ですからね、リズムを楽しむのは初期機能としては備わってなかったですね。

  • 2017-02-06 20:43
  • goldenblue
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  • 編集

[C2981]

ニューオリンズの音楽もそうですが、こういうゆるい音楽の良さって、若い頃はなかなか分かりにくいですよね。昔、日本で良く聞かれた音楽と良い部分が違うからでしょうか。アメリカのルーツ・ミュージックは、黒い方も白い方も、齢を取ってから分かるようになった気がするので、おっしゃることが分かる気がしますです(^^)。

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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