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♪ATRANTIC RHYTHM AND BLUES 1947-1974

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ATLANTIC RHYTHM & BLUES / Various Artists

リズム&ブルースのコンピレーション盤といえば、何はともあれアトランティックです。
これは1947年から74まで、アトランティック・レーベルの歴代R&Bヒットを網羅した7枚のシリーズ。
実は金がなくって中古をバラ買いしたので、未だにVol.1だけが揃っていないのだけど(笑)。

なんといっても最初にガツンときたのは、66年から69年のヒット曲がたっぷり詰まったVol.6だった。
ウィルソン、ピケット“Land of 1000 Dances”“Mastung Sally”、エディー・フロイド“Knock On Wood”、オーティス・レディング“Try A Little Tenderness”、サム&デイヴ“When Something Wrong With My Baby”“Soul Man”、アーサー・コンレイ“Sweet Soul Music”、ジョー・テックス“Show Me”、後半は“Respest”“Do Right Woman,Do Right Man”“Baby,I Love You”“Chain Of Fools”“A Natural Woman”などなどアレサ・フランクリンのヒット曲オンパレード、〆はブルック・ベントン“Rainy Night In Georgia”と、これでもかっていうくらいのエキサイティングでグレイトなナンバーが満載。ちょうどストーンズのかっこよさに目覚めて、このあたりを聴きあさりはじめた頃で、あ、なるほど、ルーツはここなんだって感じでがっつり聴きまくりました。

少し時代を下ったVol.7は、69年から74年。タイロン・デイヴィス“Turn Back The Hand Of Time”やキング・フロイド“Groove Me”、ベティ・ハリス“Clean Up Woman”などソフィスティケイトされつつもファンキーな楽曲が登場すると同時に、ロバータ・フラックやダニー・ハサウェイら内省的でシンガーソングライター的要素を含んだニュー・ソウルっぽいものが主流になっていく時代の変化がよくわかる。

遡ってVol.5には62年から66年まで。ここはソロモン・バーク“If You Need Me”、ルーファス・トーマス“Walkin' The Dog”、ドン・コヴェイ“Mercy,Mercy”などストーンズがすぐにカバーした黒光りのソウルてんこ盛りに、“Mr.Pitiful”“Respect”“I've Been Loving You Too Long”などオーティスの数々のヒット曲。それからホリーズがカバーしたドリス・トロイの“Just One Look”。
ただ、泥臭くディープなソウル一辺倒でもなくて、エスター・フィリップス“Release Me”、バーバラ・ルイス“Baby,I'm Yours”といったストリングスなんかも入ったちょっとオールド・スタイルな感じの曲も幾分含まれていて、50年代のスタイルがロックンロールの影響を受けてよりビートの効いたものへと変わっていく感じが見えてくる。

58年から62年のVol.4はレイ・チャールズとラ・ヴァーン・ベイカーとコースターズとドリフターズ/ベン・E・キングのヒット曲大会。“The Night Time Is Right Time”に“What'd I Say”に“Saved”、“Charlie Brown”に“Poison Ivy”、“This Magic Moment”に“Dance With Me”、“Stand By Me”に“Don't Play That Song”。
レイ・チャールズはゴスペルとブルースを強烈に混ぜ合わせ、ラ・ヴァーン・ベイカーはルース・ブラウンのパンチのあるシャウトをさらに発展させ、コースターズはドゥー・ワップをより洗練されたポップに仕上げ、ドリフターズはコーラス・グループの基礎を作った、最初の黄金時代とでもいうべき時代。

若い頃はこのあたりまではよく聴きまくったのだけど、それ以前の40年代後半~50年代前半モノには苦手感がありました。古臭くてイケてない感じがしていたのかな。
ところが年を重ねるごとにこういうのが気持ちよくなってきて、最近はVol.2やVol.3のほうばっかり聴いている。
Shake,Rattle,and Roll”や“Honey Hush”のビッグ・ジョー・ターナー、ルース・ブラウンの“Lucky Lips”や“Wild Wild Young Men”。ドゥー・ワップでは“Good Lovin'”や“Lovey Dovey”のクローヴァーズに“Sh-Boon”のコーズにダイヤモンズやカージナルス。クライド・マクファターのドリフターズは“Such a Night”や“Money Honey”をヒットさせ、プレスリーに大きな影響を与えた。
元々30年代や40年代、主流の音楽はビッグ・バンドのスタイルだった。グレン・ミラーとかベニー・グッドマンとかカウント・ベイシーとかの楽団。ビリー・ホリディだってビング・クロスビーだってフランク・シナトラだって、楽団のヴォーカリストだったのだ。それがコンパクトなコンボになり、ルイ・ジョーダンやワイノニー・ハリスらのジャンプ・ブルースが生まれる。弾き語りが主だったシカゴやテキサスのブルースもバンド化し、一方でストリートでは楽器も買えない貧しい連中がドゥー・ワップを始め。そういう大きな流れが、アトランティックというレーベルの中で混ざりあって渾然一体となって、次にロックンロールが生まれてくる土壌ができあがっていった、みたいな。

こういう音楽を聴いていると、ぜんぶ繋がっていくんですよね。そこにそれぞれの時代背景と社会の変化があって、これはもう書き始めると本が一冊できてしまうレベルに膨大になるけれど、そういうことを知る中で、今という時代の座標を確認できたり、自分もまた社会の流れと繋がりの中で生きていることを感じたり、まぁとにかく深いですわ。
そういう深さと広さを感じさせてくれるこの7枚組は、一生ものの値打ちがあります。


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コメント

[C2972]

deacon_blueさん、こんばんは。
1000円シリーズ、「えー、こんなのが1000円!昔は探し回ってもなかったのにー!」というのがけっこうありましたねー。
僕もイキオイで数枚買いましたが、結局アルバムよりもシングル曲、ベスト盤やオムニバスを聴くことのほうが多くて(笑)、今は粛々と見過ごしています。。。

  • 2017-01-17 23:37
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2971] 1000円ソウル時代

☆ 5年位前からR&B,ソウルの名盤(50年代~80年代)が1枚千円の廉価盤CDになって山のように出てきました。アトランティックやモータウンは何枚も買い込んだのでトートバッグ(5枚買ったらついてきた)が幾つか手元に残りました。このコンピの頃はまさかこんな時代が来るとは思っていませんでしたが。

[C2970]

Okadaさん、毎度です。
この時代のブルース、ドゥー・ワップ、ロックンロール、R&B、ソウル・・・かっこいいですよね。
呼び方は何であれ全部共通のブルース・フィーリングが感じられる、というか。
40年代後半~50年代前半ものの良さはほんと年を重ねるごとに良くなってきた感じ。
クライド・マクファターとラ・ヴァーン・ベイカーが今は大フェイヴァリットです。
  • 2017-01-16 21:51
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2969]

最近聴いてないですが、良いですよね、これ。
こういう編集盤は各アーティストのオリジナルアルバムを聴くスタンスとはまた違った聴き方で接していますが、聴いていてめちゃくちゃ楽しいです。
確かにぼくも若い頃は初期の音源はイマイチ積極的に聴かなかったですね。今もあの辺りの音には然程詳しくないのですが、加齢とともに(笑)、好きになってきました。
アトランティック・ソウル、最高です。

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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