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♪BLUE & LONESOME

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Blue & Lonesome / The Rolling Stones

Just Your Fool
Commit A Crime
Blue And Lonesome
All Of Your Love
I Gotta Go
Everybody Knows About My Good Thing
Ride 'Em On Down
Hate To See You Go
Hoo Doo Blues
Little Rain
Just Like I Treat You
I Can't Quit You Baby

長らく続けてきたこの「蔵出しCD」のシリーズ、今回が最終回です。
ラストに選ぶのは、実に11年ぶりの、待ちに待ったジイサンたちの新譜。
出たばっかりのニュー・アルバムを「蔵出しCD」と言ってしまっていいのかとも思いつつ、コレに関してはいいのだ。なにしろ“構想50年”というシロモノですから。

最初、ストーンズがブルースのカヴァー・アルバムを出すと聞いたときにイメージしたのは、キースのソロみたいな渋い感じのもの。キースの顔に刻まれたシワみたいに年輪を感じさせてくれるような枯れた感じのブルース・アルバムになるのかな。ジイサンたちももう70越えだもんな。新しいもの尖ったものばっかり出てくる方が不釣り合いだし、そういう熟成されたストーンズを聴いてみたいな、という思いもあった。
で、そのイメージが、こうも見事に気持ちよく裏切られるとは!というのが正直な感想。
やられました。
あー、なるほど。
ストーンズが素直にすごすごと年相応に枯れたブルース・アルバムなんぞ、そもそも出すわけないよね、って。
なにしろ元気な音。やかましいくらいの。
ギターもギュンギュン鳴ってるし、リズムもタイトだし、何よりミックがものすごーく気合い入ってるよね。

ふと思い出したのは、もう30年も前に山川健一がパリでミックにインタビューしたときのエピソード。ミックが初ソロ“She's The Boss”をリリースした頃だから1984年だな。「好きなブルース・マンは誰ですか?」との山川氏の問いに「マディー・ウォータース、それからハウリンウルフは最高だよな。」と答えていた。
なるほど、カバーした12曲のうち、ハウリンウルフが2曲というのはミックの好みなんだろう。
ジミー・リードとエディー・テイラー、ライトニン・スリムあたりは確かにミックもキースも大好きなんだろうな、という気がするけど、リトル・ウォルターが4曲も、ってのはちょっと意外。おそらくはミックがハープを吹きまくりたかったからなんだろうな(笑)。或いはミックもキースもそのときたまたまそういう気分だったのか。

先の84年のインタビューで、ミックはこんなことも言っている。

「ストーンズは、ブルースの、もって回った言い回しを使わず言いたいことをそのまま言う、って方法で出発したんだ。好きだなんて言わずに、やりたい、とかね。」

「それまでのイギリスにはつまらない音楽しかなかったけど、俺たちはリズム&ブルースを発見した。こいつは素晴らしい音楽だ、と思ったんだよ。それを一人でも多くの人に知ってほしかった。そういう使命感を俺は今でも持ってるんだよ。」

当時のきらびやかなミックのソロ・アルバムからは裏腹に感じたし、使命感なんてものがミックのイメージとは真逆で意外に思いもしたのだけれど、表向きああやって新しいものを追いかけて派手に商売しているようでも根っこのところでは自分のルーツを大切にしているんだな、って。
その当時はわからなかったんだけど、人間多少トシ食ったからってそうそう変わるものでもないんだろうね。
当時40代前半だったミックの中では、10代の頃に鮮烈に衝撃を受けたブルースという音楽への敬意や憧れが、10代の頃とまったく変わらないままあったんだろう。誰がどうみても世界をうならせるトップ・スターのミックの中に、普通に10代の落ちこぼれの少年が存在していて息づいている。周りが言うほど、環境が変わったほどに本人自身はまるで変わってはいない。
そういうものなんだな、ということは自分自身が40代になってようやくわかった。
そして、そうだとすると、70を過ぎたミックの中にはきっと今も10代の少年が息づいている。ブルースに出会った頃の「こんなふうに歌いたいことをストレートに歌うんだ」という思いや、ストーンズを始めた頃の「ブルースの伝道師」としての使命感がミックの中では今も自然に、普通にある。
古い音楽、懐かしい思い出としてではなく、10代で聴いた衝撃をそのままに今もミックの中で鳴っているブルースを今までと同じように演ってみた。
きっとそういうことなんだろう。
だとすれば、老いることなんてまるで恐れることはない。
今、胸の中で鳴り響いているものをそのまま持ち続ければいいのだ。
この活きのいいブルース・レコードから、僕はそんなふうに力をもらったのだ。


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コメント

[C2940]

Bach Bachさん、こんばんは。
これは買う価値ありかと思います。このメンツで録音できることもあと何枚もなさそうですしね。。。
  • 2016-12-12 20:13
  • goldenblue
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[C2939] リンク先の

PVをいくつか聴きましたが、めっちゃいいですね~!!これは買おう(^^)

[C2938]

Okadaさん、こんにちは。
「ラヴ・ユー・ライヴ」のエル・モカンボ・サイドみたいな奴ね。聴いてみたいですね。
今回のアルバムは珍しくキースが一曲も歌ってないので、キース・コーナーも込みで。
  • 2016-12-12 08:35
  • goldenblue
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[C2937]

LA MOSCAさん、こんにちは。
山川健一の「ローリング・キッズ」、久しぶりに引っ張り出して読みました。
このアルバムには、ミックの中には50数年前も30年前も変わらないままのものがあるんだな、と感じさせるものがありました。
録音はされていないけど、アルバム作るたびにこういうセッションを演っていたんでしょうね。
  • 2016-12-12 08:29
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2936]

名盤さん、こんにちは。
一回飽きてやっぱりはまる、ブルースってそういうところありますね。シンプル故の奥深さというか。
長く聴けるアルバムになりそうな感じがします。
  • 2016-12-12 08:22
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2935]

このアルバムの曲を小さなクラブでプレイした、ライブDVDとCDをリリースしてくれないかなと密かに期待しています。
「狭いステージでのミックに敵う奴なんかいない」と昔キースが言っていたので、小さなクラブでブルースを歌うミックの勇姿を拝みたいものです。

[C2934]

ちょっと受けた衝撃がデカすぎて、このアルバムのこと、まだ書けてません。
ヤマケンのミック・インタビュー発言は俺も引用しようと思ってた。
あれ、いい発言だもんねぇ。
そして俺も思いました。
ギンギンじゃねーか?って。
  • 2016-12-10 23:15
  • LA MOSCA
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[C2933]

このアルバム良いですね~
僕は聴きすぎて一回飽きて、またハマってます。
ストーンズはやっぱり最高です!!

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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