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◇カラスの教科書

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駅から仕事場へは徒歩5分くらいなのだけれど、直通の大通りではなく、少し回り道になる裏通りを歩くようにしている。理由は、出勤前にタバコを一本吸っていきたいから。人通りの多い大通りではとても吸えないから。
その裏通りは、夜は飲み屋街で、朝イチにはあっちこっちにゴミが出してあって、そのゴミを狙ってカラスがたくさんうろうろしている。近所には大阪城公園もあるのでねぐらも多いんだろうね。
そのカラスを観察するのが、この裏通りを歩くもうひとつの楽しみで。
カラス見るのって楽しいよね、っていうとちょっと怪訝な顔をされるのが関の山なんだけど、実際楽しいし、よくみるとけっこうかわいいんですよ、カラスって。
おっ、今日も元気に漁ってるな、なんて。

先日東京へ行ったときも、朝から歌舞伎町でカラスの観察して遊んでました。
午前9時を過ぎてまだゴミを漁ろうとしているのは、朝イチのまだ人が少ない大漁の時間帯に食いっぱぐれた若いカラス。カラスにはある程度の社会があって、強い奴から順に飯にありつけるらしい。たくさんでゴミを漁っているように見えてもよーく見ると一羽一羽順につついていることが多いですね。
そして、実はとても臆病。
ゴミの山が積んであっても、ちょっとでも人が通るとさっと飛び立ちます。
電柱の上とか、屋根の上からまずはじっと人間を観察しているんですよね。近づくと逃げられるので、警戒されつつ少し離れた場所から観察。
人通りが途切れると、安全な距離を保ちつつ、ひょこひょこと屋根を伝っていく。目的のゴミに最短距離まで近づいたあと、ふわっと飛んで着地、ぴょこぴょこごみ袋に近づいてゴミをつつく。目的物をゲットしたらさっと屋根の上に戻ってから食べる。
こんな具合です。

①     →②    →③    →④
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①高い看板の上からまずは観察
②人が通り過ぎたら、一段下の看板にぴょん
③テントの屋根へとさらに近づいて
④ひらりと飛んで着地、エサをゲットしたらまたひらり

周囲の様子を観察しつつ、じわりじわりとタイミングを見計らいながら距離を詰めていく技。
カラスの臆病で慎重、かつ計画的な様子がよくわかります。


そんなカラス好きにとってたまらなく楽しいのがこの本。
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カラスの教科書 / 松原 始

著者は大学の助教授で、博物館での研究員の傍らでずっとカラスの研究をしているらしいけれど、随所に現れるカラス愛が素敵。
だからといってべったり持ち上げじゃなくって、時には学術的な視点でクールに、時にはあほくさいくらいのカラス愛まるだしで、そのバランス感覚がとても好感が持てるのです。

カラスというと、ゴミを漁って迷惑、ということで嫌われていますが、そもそもカラスはハイエナなんかと同じで自ら狩りをする能力には秀でていない分、強いものが食べ残した死肉などを食べることを生存戦略としてきた鳥のようです。森林の屍のかわりが、都会の強者である人間が残したゴミ、というわけですね。そこにエサがあるから群れる。カラスとしては昔からやってきた方法が、たまたま都会の環境と一致した、というだけのこと。
墓場に集まって不吉、というのも、お墓は人通りが少なくお供えなどのエサがあるので集まりやすい、ということのよう。
人を襲う、とか、女子供を見分けている、なんてこともよく言われますが、仮に襲うことがあるとすれば、それは子育ての時期に人間が不用意に巣に近づいたときだけなんだそうです。女子供は見分けているというよりは、背が低い相手とのほうが距離感を詰められてもまだ大丈夫、ということによるもののようです。
人間は妙に生き物の行動を擬人化したがりますが、彼らには彼らなりの行動論理があるわけですね。

と、まぁ、この本で得た知識も思い出しつつカラスを観察するとより楽しめます。
あー、なるほど、そーゆーことかー、なんて。
人間がなんだかんだ言っても、カラスたちのやっていることは今日を生き延び明日を生きるためのエサの確保と、子孫を残すための繁殖のための行動。彼らの暮らしている環境は都会であっても野生なんですね。そして野生は毎日がサヴァイヴァル。食うか、のたれ死ぬか、やるべきことはシンプル。
そういう意味でカラスの観察は、都会で野生の行動を観ることができる数少ない機会、生き物とは何ぞや?というヒント、大袈裟に言えば生きるとは何ぞや?ということを考える上でもためになります。

ま、そんなこんなでカラスの観察が毎日のちょっとした楽しみになっているのですが、なんでこんなにカラスが気になるんだろ、なんて思いつつ、この本の最後のページの記事、【あなたのカラス度診断】っていう記事を見てちょっと自分でも笑ってしまった。

【あなたのカラス度診断】
1・ワードローブがなんとなく黒いと思う。
2・何でも食べます。好き嫌い?ダイエット?何ソレおいしいの?
3・「情報通」「物知り」と言われる方だ。
4・結構、器用。っていうかムダに器用かも。
5・周囲に「実はヤバそうな奴」と誤解されている気がする。
6・好きな歌を聞くと無意識に口ずさむことがある。しかも完コピ。
7・群れるのは別に嫌いじゃない。義務感はないけど。
8・気になるものを見つけると立ち止まってチェックしないと気がすまない。
9・でも、石橋を叩いて他人に渡らせるタイプだ。掲示板では半年ROMる。
10・見つけたものは食べてもいいと思っている。

これ、ほとんど当てはまる。
要は、俺、カラスだったんだ、って。
ムダに器用、とか、もうそのまんまですわ(笑)。



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コメント

[C2930]

Bach Bachさん、こんばんは。
おもしろかったですよ、この本。
カラスが大群でいると確かに少し気味が悪いかもしれませんが、カラスが大群で襲ってくることなどありえないことも、この本を読むと納得できます。
  • 2016-11-25 22:46
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2929] おもしろい(^^)

読みたくなってしまいました。というか、golden blue さんの記事を読んで、もう読んでしまったような気分になっています。でもカラスって結構大きいので、近くに大群がいるとやっぱり僕はひるんでしまうなあ(^^;)。

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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