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♪KING OF HEARTS

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King Of Hearts / Roy Orbison

You're the One
Heartbreak Radio
We'll Take the Night
Crying
After The Love Has Gone
Love in Time
I Drove All Night
Wild Hearts Run Out of Time
Coming Home
Careless Heart

その人の声が聞こえてくるだけで、景色が変わる声、というのがある。
景色が変わる、世界の見え方が変わる。
ロイ・オービソンさんはそんな希有な声をもった数少ないひとりだと思う。

“Only the Lonely”“Oh Pretty Woman”“Crying”といった60年代の数々のヒット曲も大好きなんだけど、スプリングスティーンやトム・ペティ、ジェフ・リンらに引っ張り出されてシーンに復帰した80年代後半の作品がまたとっても素敵なんです。
スプリングスティーンやコステロやボノが参加し、ハートブレイカーズの面々やジム・ケルトナーがバックアップした88年の「Mystery Girl」。残念ながら本人はこの作品が陽の目を浴びる前にわずか52才で亡くなられてしまったのだけど、さらにその4年後にリリースされたこの「King of Hearts」がまた素晴らしい作品で。残されたヴォーカル・テイクに後から演奏を乗っけたものらしいけど、本人がこれを聴いたらびっくりしただろうね。この作品のつくりだけでも、ロイさんがどれほど後進のミュージシャンたちに慕われ、愛されていたかがわかる。
昼メロみたいに甘くも哀愁感の漂う“You're the One”に始まって、少年時代にラジオからロックンロールが聞こえてきたときのドキドキを思い起こさせるような“Heartbreak Radio”、クラレンス・クレモンスの咽び泣くようなサックスがかっこいい“We'll Take The Night”。K.D.ラングのハーモニーが素敵な“Crying”のセルフ・カヴァー。そして極上にせつない気持ちにさせてくれる“After The Love Has Gone”と“Love In Time”。シンディー・ローパーが歌っていた“I Drove All Night”も、バディ・ホリーみたいなリズムの転がり方とぎゅっと心をつかまれるような、過ぎていった夏の熱をまだ少し体に残しながら、クールな夜風に吹かれているみたいなヴォーカルがかっこいいんだよなぁ。

景色、変わるよね。
甘く、せつなく、青春の熱さとチクチクするような傷みを思い出すみたいな。
わけもなく感傷的に、そして少しばかり優しい気持ちになれる。

いつの間にか過ぎていった夏。
まだまだ昼間は暑いけれど、夜の空気はすっかり秋。
空には、雲の切れ目にぽっかりと中秋の名月。

心が少しギスギスしてきたら、ロイ・オービソンを。
澄んだ空に煌々と輝くまぁるいお月さまを心に思い浮かべて。


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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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