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♪MY TRUE STORY

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My True Story / Aaron Neville

Money Honey
My True Story
Ruby Baby
Gypsy Woman
Ting A Ling
Be My Baby
Little Bitty Pretty One
Tears On My Pillow
Under The Boardwalk
Work With Me Annie
This Magic Moment / True Love (Medley)
Goodnight My Love(Pleasant Dreams)

典型的なファッションの人って、個人的には何だかな、って思うところがあって。
革ジャン・鋲・ブラックジーンズ・長髪でビシッと決めたメタル好きとか、ベースボール・キャップにダブダブのシャツのヒップホッパーとか、ボッサボサの髪にチェックのシャツと銀縁メガネのオタクとかね(笑)、いかにもってのが好きじゃない。ひとつの価値観にずっぽり全部染まってる感じがね、ひとつの世界観だけでいっちょあがりな感じがどうも、それでいいのかよと突っ込みたくなる(笑)。
パッと見と実態のギャップが大きい人のほうが魅力的ですよね。
化粧っ気も少なくてさらっとした感じの女性がすごくおしゃれな小物を身につけているとか、バリバリのヤンキー・ルックなのにすごく博学とか、普段はおとなしい無口な女の子が週末はパンク・ロッカーとか、めちゃくちゃいかついおっさんがものすごくスイートな甘い声で歌うとか。
アーロン・ネヴィルさんはこのタイプ。
このいかつい見た目と歌のギャップ、あのごっつい体といかつい風体からどうしてこんなにも甘い歌声が出てくるのか?それだけでもう深みを感じます。
2006年のソウル・クラシックのカヴァー集“Bring It On Home”も、そのあと出たゴスペルっぽい南部臭さの詰まったアルバムも大好きだったんだけど、さらにその上を行くのが2013年のこのアルバムです。
ドン・ウォズがプロデュースでキース・リチャード全面参加というだけでも色めきたつ上に、ドゥー・ワップのカヴァー集っていうのがまたそそられるんですわー。
のっけからクライド・マクファターの“Money Honey”でビシッと決めて、ドリフターズにインプレッションズ、クローヴァーズ、ジャイヴ・ファイヴ、リトル・アンソニー&インペリアルズ、ハンク・バラード&ミッドナイターズ・・・ニュー・オリンズ・ファンク風に味付けされた“Be My Baby”はご愛嬌か。

アーロンさんのヒョロヒョロしたヨーデル唱法は慣れないとなんだかへんてこりんにも聞こえるけれど、その奥にあるソウルに触れると病みつきになってしまうんだな。
ソフトでシルキーな肌触り、どこか懐かしく、あたたかいものに包まれているような感覚になる、っていうか。
元々はティーンエイジャー向けだった60年近くも前の古い楽曲が、熟成されて深みを増して、とても芳醇な香りを漂わせてくれる。
そこに、アーロンさんの人生の深みを感じるのですよね。
つるんとのっぺりした若僧にはとても歌えない。かといって枯れてしまって昔の栄光にすがっているだけの爺さんではこの色気は出ない。若気の至りも、思慮浅はかな失敗も、或いはとても甘美な秘め事も、せつなくなるようなロマンスも、そんな過去を愛おしく胸に抱きつつ、あるがままをしっかり受け止めて大人になった人だけが出せる味わいというか色気というか、そういう感じがとても素敵です。
通りいっぺんの型にはまった典型的な人にはこういう味わいや色気はまず出せないよね。

気温はまだまだ高いけど、すうっと涼やかな風。秋の匂いが漂い始める夏の終わり。
あったかいお茶を飲むように、ホッと一息癒されて。



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コメント

[C2889]

ezeeさん、毎度です。
なるほどー、そういう考え方もあるか。●●一筋!みたいな。

アーロンさん、ほんまギャップ激しすぎます。
レスラー、漁師、土建屋、そーゆーいかつさなのに。

  • 2016-09-03 17:49
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2888]

まいど! ブレまくりの私などファッション=思考の人を逆に憧れたりしますヨ〜
しかし、このオッチャン、歌うたわんかったらレスラーにしか見えませんが、綺麗な声してますね〜 My True Story なんか最高でんな。
  • 2016-09-03 02:05
  • ezee
  • URL
  • 編集

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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