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♪AFRICAN PIANO

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African Piano / Dollar Brand

Bra Joe From Kilimanjaro
Selby That
The Eternal Spirit Is The Only Reality
The Moon
Xaba
Sunset In Blue
Kippy
Jabulani - Easter Joy
Tintiyana

ジャズを一生懸命聴き漁っていたのは、20代後半~30代前半の頃。
ありきたりのモダン・ジャズにはあまり満足できなくっていろいろ手を出してみた中には、素晴らしいけどすぐ飽きちゃうものも、なんだかまったくちんぷんかんぷんなものもいろいろあったけれど、そんな中で今も印象深いのが、南アフリカ出身のダラー・ブランドさんのこのピアノ・ソロ・アルバムだ。
後にイスラムに帰依してアブドゥル・イブラヒームと名前を変えたピアニストの1973年の作品。

初めて聴いた時は、よくわからない退屈なピアノソロがひたすら延々と続くだけで「こりゃ失敗した」と正直思ったんだけど(笑)。もっとアフリカっぽい熱くファンキーな音を期待していたのだ。で、長い間棚にしまいこんだままになっていたこのレコードの凄さがじわじわとわかってきたのはずいぶん後になってからだった。
ピアノ一台で展開される曲はなんとも奇妙。そもそもこれはジャズなのか?という疑問すら湧く。例えばキース・ジャレットやなんかの流麗なピアノ・ソロとはまたまるっきり手応えが違って。
うーん、生命力に満ちているっていうかな。たったピアノ一台の演奏なのにものすごく躍動的で、よく耳にするロックやソウルとは音楽の成り立ちそのものがまるで違うし、いわゆるクラシックともまったく違う方法で構築された世界がなんとも奇妙であり不思議でもあり、また新鮮でもあり。
この退屈なメロディは、実はメロディーではなくアフリカの太鼓をピアノで再現したものだった。
左手は、ひたすら同じリフを延々と繰り返し続けるのだけれど、それが太鼓を使った祝祭の儀式をモチーフにしているのかもしれない。そもそもの西洋音楽の様式とはまったく出発点の異なる音楽。言葉どおりの“アフリカン・ピアノ”。そう気付いてからすっかりはまった。
延々と繰り広げられていくピアノの躍動感にただ身を委ねてみるのがとても心地よいのだ。
なんていうのかな、この音楽には永遠の循環が表現されている、という感じかな。
日が昇り日が沈み、月が昇り月が沈む。人類が生まれる遥か前から、そしておそらく人類が滅亡したとしてもこの地球上でずっと繰り広げられていく永遠に近い循環運動。そういう表現を前にすると、一人の人間が生きている時間なんて本当にあっという間なんだろうな、なんてこのアルバムを聴いているとひしひしと感じるのです。

今夜あたりが満月かな。
お月さまがとてもきれいだ。
数千年前、数万年前も、遠い遠い僕らのご先祖様もこうして月を見上げていたのだろうな。
そしてこれから数千年先、数万年先も。
こういう音楽にただ身を任せているうちに、あっという間に100年でも200年でも過ぎてしまえばおもしろいのにね。



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コメント

[C2883]

Bach Bachさん、こんにちは。
まだ聴いてないけど、近作の“Senzo”や“Mukashi”も評判いいようですね。
一度はまればクセになる音です。
  • 2016-08-21 18:48
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2882]

このアルバム、すごくいいですよね。もう1枚、enjaというヨーロッパのレーベルから出た"YARONA"というアルバムがありまして、こっちも最高でした(^^)。

[C2881]

Bach Bachさん、こんばんわ。
改名後の「African Market」というアルバムもアフリカっぽいリズムで好きなんですが、やっぱりこのアルバムの孤高ともいえる存在感はすごいです。
  • 2016-08-20 20:51
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2880] ダラー・ブランド

不思議な魅力のあるピアニストですよね。おっしゃるとおり、ジャズ的でないというか。でも、私も好きです!

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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