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♪さすらい / 奥田民生

股旅
股旅 / 奥田民生


2月29日。4年に一度しか巡ってこない日付。今年はうるう年。
誕生日が近いせいか、2月29日が来るたびに、何ともいえない妙な感覚に陥ってしまう。
2月29日がなければ例年ならば3月2日のはずの日がまだ3月1日だ、という不思議。日本からアメリカに12時間以上も飛行機で飛んだのに、日付変更線を越えて、さっき日本で過ごしたはずの日付にもう一度舞い戻ってしまう感覚にも似た不思議さ。
地球が約365.25日かけて太陽の周りを一周するから、ほっておけばだんだん季節がずれ込んできてしまう、それは農業を営むにあたってどうも都合がよろしくないから4年に一度修正する…それがうるう年。そんなことは理屈ではわかっていても、いつもはない時間がそのときだけ現れる、というのは、やっぱり不思議だ。

不思議、といえば、奥田民生という人は、本当に不思議なキャラの持ち主だと思う。
俺はロックだぜ!と、ことさら気合を入れることもなく、かといって時代を睨んだ売れ線狙いで楽曲を作るわけでもなく、奇をてらった作品を派手に発表するわけでもなく、飄々と、さりげなく、しかしどこを切ってもわかる奥田民生らしさで、冗談なんだか本気なんだか共感できるのかできないのかよくわからない歌を、誰の耳にもよく届くキャッチーなメロディとわかりやすい歌詞で、とりわけ上手でもなくかといってヘタクソでもない歌を、その独特のキャラでナチュラルに音楽を演っている。老け込みもせず若作りもせず、ただ淡々とのようで実は狙ってるようなあざとさも秘めつつ。
その存在感がなんだか、4年に一度しか来ないくせに、うるう年にはさもそれが当然のようなの顔をしてやってくる2月29日のようだ、と思った。

奥田作品で一番好きなのは、『股旅』収録の「さすらい」。
歌詞だけ読んだらとてつもなくシリアスで切羽詰った状況で追い込まれた果てにぎりぎりの選択をしたかのような感じさえする「さすらいもしないで このまま死なねぇぞ」という決めセリフ。それを、まるでか風に流される雲のように飄々と口にしてしまえるその能天気さが素敵だ。
実際、そんな風にはなかなかなれそうもなく、もがけばもがくほど溺れてしまうのがわかった上でそれでももがいてしまう、僕は相変わらずそんな感じなのだけれど。


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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