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♪HURT ME

HURT ME

Hurt Me / Johnny Thunders

嫌なことがあってとても塞ぎこんでいる。
まぁどこの会社でも似たり寄ったりのことはよくあるもんなんだろうけれど、またあいつの元で働かなきゃならないかと思うとうんざりする。
なんだかんだいっても仕事は結局「情」で動く。いくら理屈でやり込められたって、その理屈がいくら正しかったって、嫌いな奴は嫌いだし、人として尊敬できない人の言うことには素直には従えないな。

さぁ、これから一体どうしていこうか、なんて薄暗く、どよんとした気持ちで聴いていたのはジョニー・サンダースの“HURT ME”。
カーテンを閉め切った薄暗い四畳半の部屋の片隅でカセットテレコで録音したようなギター一本の弾き語り。ジョニーの歌はヨレヨレのヘロヘロで、ギターだって決して巧いとは言い難い、まるで素人のデモ・テープみたいな作品だ。
だけど、このヨレヨレでヘロヘロなジョニーの歌が、ズキンズキンと心に浸みるのだ。
ひとりぼっちでギターを抱えて、誰のためでもないただ自分自身の為に歌うジョニーの、どうしようもないような透明な悲しみ。こんなどうしょうもない俺を許してほしいと懺悔し許しを乞うような、深い深いやりきれなさ。
こんなに頑張ってるのに組織は俺にレッテル貼って何一つ認めてくれないなぁ、という無念さや、そもそも認められたくってやってるんじゃないや、俺は俺が楽しいと思ったことをやれればそれで十分だし楽しくないことはやりたくないし、ましてや誰かにやれされたくなんかないや、というプライドや、なんだいそれって結局意地張ってるだけじゃないのか、もっと素直に謙虚に自分の至らなさを認めてみなよ、という自省や、謙虚に反省なんてするくらいなら気が狂ったほうがマシってもんだ、という虚勢や、そもそもこのご時世仕事があるだけましってもんよ、という開き直りや、意地張って喧嘩売って敵をたくさん作ってそれから先一体それでどうするつもり?という不安や、そんなこんなのいろんな自分の心の声が、ジョニーの歌の向こうから聴こえてくる。
僕はそれを聴きながら、ただその場に立ち尽くし、うずくまり、どんな言葉が最後に残るのかをずっと眺めていた。
音楽が終わり、心の底に最後に残った一枚の紙切れを開いてみると、そこにはこう書かれていた。
「おまえはおまえの歌を歌え、おまえなりのやり方で」と。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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