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♪BOBBY CHARLES

bobbycharles.jpg
Bobby Charles / Bobby Charles

Street People
Long Face
I Must Be In A Good Place Now
Save Me Jesus
All The Money
Small Town Talk
Let Yourself Go
Grow Too Old
I'm That Way
Tennessee Blues

秋は日に日に深まっていく。
朝晩は少し肌寒いくらい。空は高く、雲は薄く、風は穏やか。
なんとなくせつなくもあり、少しもの悲しくもあり、でもその感情の動きはどことなく好ましいものであるような気もする、そんな季節に、例えばこんなの気持ちいいよね、って思ったのがボビー・チャールズの1972年のこのアルバム。
流すだけで空気が和む雰囲気と佇まい。このゆるさがとても心地よい。
まるでレイ・チャールズみたいな節回し、黒人みたいに渋い声と、ゆるくて穏やかでいながらもファンキーなリズム。 そのリズムの跳ね方は何て言うか、汗臭く泥臭くファンキーとは少し違って、そうだなぁ、生命のリズムとでもいうかね、生きていることの歓びやせつなさを伝えているような気がするのです。
バックを固める演奏陣はザ・バンドのリック・ダンコ、リチャード・マニュエル、ガーズ・ハドソン、レヴォン・ヘルムに、ドクター・ジョン、ジェフ・マルダー、エイモス・ギャレットといった面々で、彼らの演奏がまた、すごくアーシーというか、生命あるもののあたたかみというか、そういうものに溢れていて。
その何てことはない穏やかな演奏に、癒されていく自分がある。
それこそ“I must be in a good place now”と感じることができるような。

 リンゴの花が咲き乱れている
 とても素敵な場所に僕はいるんだな
 七色に染まった空から降りそそぐ陽の光が
 僕の心に落書きをする
 
 とても素敵な場所に僕はいるんだな
 そう、僕はとてもシアワセなのに違いない
     ( I must be in a good place now)

窓を開けて深く深呼吸をしたくなる。
お酒よりも熱い紅茶だな。
お酒で酔っぱらってしまうのはもったいないくらいの心の平安。

ただ、このボビー・チャールズさん、穏やかなだけではない。元々はR&Bシンガーとしてチェスからデビューしたという経歴の持ち主で、シンガーとしては鳴かず飛ばずだったものの、ビル・ヘイリーがヒットさせた“See You Later Alligator”やファッツ・ドミノの“Walking to New Orleans”の作者としても名をはせた人。なんでもチェスが契約をしたときは声だけ聴いて黒人だと思いこんだ、という逸話もあるくらいで、ルイジアナ出身らしいファンキーさもこの人の持ち味。
ドクター・ジョンと思しきピアノが跳ねる“I'm That Way”なんて、すごくファンキーですよね。

  あんたが俺のものを全部かっぱらっていったとしてもさ、
  気にしない、どうってことない
  座り込んでブルースを歌ったりはしないんだ
  あのドアを開いて、何か新しいこと探しに行くさ
  だいじょうぶ、気にしない
  俺はいつもこんな調子さ
    (I'm That Way)

こういうブルース的な感覚、年を食えば食うほどに、しみてくるんですよね。
次の春にはいよいよ50才、人生の5/8は過ぎた。
残り時間はこんなふうに、「俺はいつもこんな調子さ」って感じでいきたいもんだなぁ。



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コメント

[C2913]

Bach Bachさん、こんばんは。
聴く前はもうちょっとフォーキーなイメージがあったのですが、なんとも渋くてほっこりする感じです。
アメリカっぽいですよね。
  • 2016-10-19 21:55
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C2912] 良かったです(^^)

ボビー・チャールズさん、聞いた事があるような無いような感じでしたが、聴いてみたら、なんか当時のアメリカの人の感覚って、こんな感じなのかなと思えてきて、すごく良かったです!golden blue さんが訳詩を載せてくれなかったら、よく分からないままだったかも。いい歌の紹介、ありがとうございました!
  • 2016-10-19 12:17
  • BACH BACH
  • URL
  • 編集

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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